櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

場のこと(ソロ『白鳥』へ)2018秋

2018-09-15 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)


写真=櫻井郁也の過去作「Landing on the lost」 本番中のplan-B客席から

ソロ公演をつづけさせていただいている「plan-B」。この場所に魅力を感じてきた。まもなく本番を迎える『白鳥』(9/29-30)をふくむ独舞シリーズは継続17年目になる。海外へも、フェスティバルにも、個人的なセッションも、僕の場合は全てこの場所で生まれた踊りが根となっている。僕には、ここで踊る機会がとても大切だ。僕には、ここで観る機会がとても大切だ。

もともと劇場や美術館など色んな場所で踊りをしていたが、このplan-Bに出会ってから、おおきく変わった。2000年のころだった。
この床にはじめて立ったとき、まず人の気配に囲まれているように感じた。足裏から強く伝わってきた何とも言えない感触は初めて経験するものだった。ここに集まった人々の作業や熱が、この空間に染み込んでいるからかもしれない。すべてにおいて都内には稀有な場所だと思う。(plan-Bの歴史)

出演者と観客は近く、そしてまっすぐに向かい合う。ダンサーの髪一本の揺らぎまでハッキリと見えて息音も聴こえる。闇中でさえ動作の気配が判別できる。舞台からも客席の呼吸まで肌に受けて踊る。いまのいまという瞬間に、踊りが本当に生まれてきているのかどうか、試されるように感じる。

そしてここには、場所の感情、とでも呼べばいいのかしら、ある種の強い視線が宿ってある。それが肉体にも迫ってくる。この場所に宿された、ある種の霊魂のようなものが、朝一番で入った途端から、からだ全体をじっと見つめているように感じる。余計なものが全部暴かれて開演前には丸裸の状態になってゆく。そこに、ほんとうの生身の皆様が入って来られると、さらに生々しい視線が迫ってくる。空間、という言葉よりも、人前、という言葉のほうがフィットする。

踊りは人と人の呼吸や気配の交流が醍醐味だと僕は思う。まなざし、と、からだ。生身の人間と生身の人間が向き合うことから生まれる空気や時間に、踊りは降りてくるのではないかとも思う。

慣れも経験も許さないこの場所での本番はとても緊張する。
ダンサーが本当にギリギリの立ち方を試される場所だと思う。踊る日が近い。

performance ダンス公演情報





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