櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

澁澤龍彦さん

2013-03-22 | アート・音楽・その他
眼覚めの時、
われわれの内部で思考するのは、
動物であり、
植物である。
少しの虚飾もない、
原始的な思考である。」

そんなフレーズがさらりと出てくるのは、コクトーの眩さ。

来週末に公演するダンス「青より遠い揺らぎ」を着想したのがコクトーの教会でしたから、彼の空気感をもう少し吸い込んでおきたくて。
それから、作業づくしなので、ちょっと気を休めなきゃ。と、読書。

34歳に書いたという『大胯びらき』を、何年かぶりに読んでいました。
原題のLe Grand Écart(グランテカール)は、バレエ/ダンスの言葉。そう、フロアにパーッと開脚するやつ。これを訳して「大胯びらき」としたセンス。
澁澤龍彦さんの訳された、その文字をたどっていると、覚醒と白昼夢を往復する心地。

コトバはチカラなり、と聞いたことがありますけれど、澁澤龍彦さんのコトバはまさにチカラあるコトバの典型ではないでしょうか。
織物のごとき密度。集中していると、遠い異世界から流れ込んでくる冷たい水流に脳が洗われてゆくような感覚になります。ノイズを削り流してくれます。

いい本は、真空のような状態をくれますから、何かが入れ替わるのでしょうか。

奇妙に感覚が冴えて、
からだのなかをひしめく雑多な音から、これか、と思える音が拾える時が、いくらかありました。

肌に合う本。何度でも、開くたびにハッとする本。
僕にとって、澁澤龍彦さんは、そんな本の書き手のひとりです。
大抵、一回目や二回目は、何が書いてあるのかなという好奇心ですが、読み慣れて内容がつかめてくると、だんだんと味わいが出てきます。文体。文字遣い。リズム。それらが好きなのでしょう、肌に合うというのは。

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