櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

山岸凉子さんのパエトーン

2015-03-22 | アート・音楽・その他
直感力は信頼できると思う。
ときどきコレはまさに今のコトを予見していた、と思う作品に出会うたび、そう思い直す。
キューブリックの映画『時計じかけのオレンジ』しかり、ディックの小説『ヴァリス』しかり。
この漫画も、そんな一つだと思う。

山岸凉子さんの漫画「パエトーン」はすごい。
長く本棚に眠っていたのを久々に読んだ。
1988年に刊行された。
ごく短い、しかし、鋭く予見的な作品だ。


古代から人間は人間自身に警告を発していたそのことを、ギリシャ神話はパエトーンの物語で語る。
山岸さんは、そこに1986年4月チェルノブイリ原発事故を結びつけてゆく。
神話に語られていた何かが、現代の私たちにぴたりと重なってゆく。
いまこの状況のなかで読んでいるとショッキングだ。

外国で決定的な事故があったのに、学ぶ力を、あやまちを断つ力を、持てなかった。
この国の私たち自身が当時者になって4年。
何が出来たか。何を考えてきたか。何を知ったか。

祖母祖父たちは原爆を、母父たちはチェルノブイリを、私たちは・・・。

読みながら、いろいろなことを考えた。
悪と知りつつそれを解決できない苛立ちや、矛盾や、不条理を共有しながら、
私たちはどこへ行くのかと思う。

いま、作者ご自身のご好意でネット無料公開中とのこと。ご参照

きょうはステージとは関係ない話題でしたが、ぜひご紹介したく書きました。
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ステージ Info.
櫻井郁也ダンスソロ公演・最新作3/28~29
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