櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

川内倫子「The rain of blessing」展

2016-09-23 | アート・音楽・その他
この展覧会を味わって数時間が経つけれど、まだ爽やかな風が胸を明るくしてくれている。

川内倫子さんの写真に惹かれつつも、ナマの展示を観たのは初めてだった。

今までは出版物を通じてしか接していなかったから、ページをめくって、深呼吸するように一枚一枚をじっくり眺め、時に1日を振り返ったり、時に雑事を忘れたりしていたのだが、展覧会となれば作家の選んだ写真に、その一枚一枚の選び抜かれた大きさや質感に、ズラリと囲まれて全身に写真を浴びるのだから、まるで自分の眼が川内さんという女性の眼に入れ替わってゆくような感覚になった。

写真の前で、世界の見え方が爽やかに変わってゆくのが感じ取れるような体験だった。

一枚一枚の写真に込められた心を読み取る楽しみ方もあるのだろうけれど、それ以上に、瞼を開けた時に飛び込んでくる光や風のまぶしさに、ただただ、もう少し此処に居たい、もう少しじっとしていたい、という感じで、湧いてくる言葉や音楽は兎に角あとまわしにして、もう少し、ただ視ていたい。そう思いながら、写真に囲まれていた。

何かを視る歓び、視ることができることへの感謝のような気持ちで一杯になった。

それは、この場所で踊ってみたい、ここならば、という、踊り心をかきむしるような場所との出会いにも似た体験だった。

みとれる、みとどける、みまもる、みつめる、みしる、みほれる、、、。

眼を通じて様々な心の動きがあり、その心の揺れやさざめきが、いつしか生活や身の佇まいを育ててくれるのだと思うが、ああ、眼というのはやはり窓なんだなぁ、眼はこの暗い身体に光を取り入れてくれる呼吸器官のひとつなんだなぁ、と、感じ直させてくれる展覧会だった。
余韻のなかで歩く東京の喧騒さえ、いつもより少し明るみを増しているのは何故だろう。

もうすぐ終わりだが、素晴らしいですから、いかがでしょうか。

浜松町の駅から少し河辺に行くと真っ青に塗られた倉庫ビルがあるその中にある広いギャラリーが会場だが、これまた、なかなか素敵な空間でした。

(浜松町「ギャラリー916」にて、9月25日まで)

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●筆者現況●
STAGE INFO. 櫻井郁也ダンスソロ新作公演10月29〜30日開催

チケット予約受付中。上記サイトより

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