櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

7/19櫻井郁也ショートソロ(増上寺境内)

2015-07-17 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
櫻井郁也ショートソロ
『死のフーガ~灰の記憶と予感へ』

(からだ、声、サウンドクラスターによる)

2015年7月19日(日)15:45~16:00予定(作品15分)
会場=東京・増上寺境内
/アースキャラバン2015
・メインステージ
(芝公園・東京タワーすぐ)

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来る7/19(日)のショートパフォーマンス、内容紹介です。上記タイトルからご推察の通り、今回の踊りはパウル・ツェランの同名の詩から想を膨らませてきました。先日お伝えしたように平和イベントの一部で踊るわけですが、メッセージでも祈りでもなく、それ以前の、戦争はじめとする暴力への不安や怒りの奏でる混沌たるリズムを踊ってみようかと思います。ささやかな声のひとつとして行為させていただければ幸いです。

ツェランの詩の根底にはホロコーストがあると言われています。とりわけ「死のフーガ」には、ユダヤ人強制収容所での体験が色濃く反映されていますが、その言葉の響きは僕には過去のものとは思えません、遠い事とも思えません。僕は過去にアウシュビッツ、ダーハウ、ブーヘンヴァルト、といった収容所跡を訪れ、トラウマになるほどの衝撃を受け、それは今思えば、過去に終わったものというよりも、いつこのような状況が現れてもおかしくないものに感じられてしまったからだったのではないかと思います。闇が人間の魂のどこかに棲んでいるのではないだろうかという恐怖を肌で感じたということもあったと思います。何かしらの大義名分のもとに暴力が正当化されること、そして理性が崩壊すること。それが、とても怖い。

今年は戦後70年。太平洋戦争からは70年ですが、視点を変えればこの70年は新たな戦争の連鎖連続する70年でもあったと思います。戦争に次ぐ戦争、経済競争、階級の再編成、そして、地球汚染、放射能拡散、、、。第二次大戦が終わってから現在まで、まさに世界は「死のフーガ」を演奏し続けているように思えてならないです。非常に沢山の戦争が繰り返されて、それらが複雑かつ多様な地球規模の利害の網の目と関係しているとなれば、私たちも無関係とは言えないのですから、私たちのこの生活も本当に平和と呼んでいいのかどうか、非常に危うい感じがしてならないです。そしていま日本では実際に戦争放棄という理念自体が揺らぎ始めて、私たち国民は議論の相手にされないようなかたちで安保法制が通されてしまった。

ツェランが死の収容所で感じ取り書き留めた言葉は、ただ過去を伝える言葉ではなく、延々と響きつづける私たち自身への警告なのではないかと思って、その言葉と踊ろうと思いました。

しかし、稽古するうちに気付いたのは、このツェランの言葉は重く沈鬱な響きでありながらも、どこか力強く生きるものの背を押す熱があるということでした。嘆きの言葉ではなく、祈りの言葉でもなく、限界状況にあっても詩を紡ぎゆく力、根底にある沸々たる怒りと怒りをバネとした生命衝動、そのようなエネルギーを感じて、その感受に身を揺さぶられて踊りが芽吹いております。

ダンスは生きているからこそ踊れるもの、生きた躰の揺れ振るいです。しかし躰が生きていても心が生きていないと踊ることは出来ません。心が生きていくために、僕らはどうあるべきなのか。真剣に考える時期が来ていると思えてなりません。



★イベント紹介記事
http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/20150701/CK2015070102000177.html

★次のステージ予定
8/9=長崎、11/7~8=東京
公演関係の記事
スケジュール



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