ひな菊の丘から

季節の声

春を春だと思うことができなくて、何か月も過ぎてしまった。桜の花は長いこと心を慰めてくれたけど、あたたかい日差しが汗ばむ陽光に変わるまで、春は私だけではなくて、たくさんの人たちの上を通り過ぎてしまった。

緊急事態宣言が解除されて、初めての週末。初めて誘ってもらったオンラインでの飲み会は楽しかった。土日は恐らくあちこちに出かける人で街は賑やかになるだろうけど、私はまだそんな気持ちになれず、いつもの買物に出た後はずっと家で過ごした。街が急激に元に戻ろうとしている様子を、金曜の夕方に強く感じたから。

今年はらっきょうや梅を漬ける心の余裕があるかなあ、と思ったりしてたので、スーパーで見つけた時、土付きらっきょうはすんなりカゴに入った。地物野菜を色々売ってるお店で、このところ毎週買ってる蕗に加えて山椒の実も買った。なので土曜日は午前中いっぱい台所に籠っていた、すごくいいお天気だったのに。



蕗を湯がいて皮をむいて、山椒もばらして茹でてアクを抜く、らっきょうは洗って両端を切り落として薄皮を剥く。



塩漬けしたらっきょうにはしばらくお休みいただく。晩ご飯は季節のオンパレードになった。新えんどうの卵とじ、花ズッキーニ、山ウドの天ぷらと、玉ねぎとむきエビのかき揚げ、蕗と揚げの炒め煮と蕗の煮物、そして日曜の今夜は自家製ちりめん山椒でご飯。ようやく春が届いた。

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