タイ国経済概況(2024年9月)
1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の8月19日発表によると、2024年第2四半期の経済成長率は、前年同期比+2.3%であり、今年第1四半期の同+1.6%から加速しているが、前期から東南アジア主要国の中で最も低い伸び率という状況が続いている。物品輸出が同+1.9%で、工業が同+1.8%とプラスに転じた。宿泊・飲食サービスは観光需要の回復で同+7.8%となったものの前期の同+11.8%から減速した。一方、農業は同▲1.1%と2023年第4四半期からマイナスが続いた。2024年上半期の経済成長率は同+1.9%だった。2024年通年の成長率見通しについては、今年5月に発表した同+2.0~3.0%から、+2.3~2.8%に範囲を絞った。
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の8月19日発表によると、2024年第2四半期の経済成長率は、前年同期比+2.3%であり、今年第1四半期の同+1.6%から加速しているが、前期から東南アジア主要国の中で最も低い伸び率という状況が続いている。物品輸出が同+1.9%で、工業が同+1.8%とプラスに転じた。宿泊・飲食サービスは観光需要の回復で同+7.8%となったものの前期の同+11.8%から減速した。一方、農業は同▲1.1%と2023年第4四半期からマイナスが続いた。2024年上半期の経済成長率は同+1.9%だった。2024年通年の成長率見通しについては、今年5月に発表した同+2.0~3.0%から、+2.3~2.8%に範囲を絞った。
(2)工業連盟(FTI)が8月27日に発表した7月の自動車生産台数は、前年同月比▲16.6%の12.5万台だった。内訳は国内向けが同▲40.9%の3.7万台、輸出向けが同+1.1%の8.8万台。新型コロナ前の2019年7月の生産台数17.1万台を下回った。また、7月の国内新車販売台数は同▲20.6%の4.6万台で、輸出台数は同▲22.7%の8.4万台。新型コロナ前の2019年7月の販売台数が8.1万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。
(3)FTIが8月27日に発表した7月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲8.0%の17.9万台で、13ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年7月の生産台数は19.7万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲11.3%の15.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+14.5%の2.8万台。また、7月の国内販売台数は同▲6.1%の14.2万台、輸出台数は同▲21.6%の3.0万台だった。2019年7月の販売台数が14.9万台、輸出台数が2.3万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。
(4)タイ商務省貿易局が8月13日に発表した2024年上半期の国境貿易額(中継貿易額含む)は、前年同期比+3.6%の9,123億バーツだった。輸出額は同+3.1%の5,343億バーツ、輸入額は同+4.3%の3,780億バーツで貿易収支は1,563億バーツの黒字となった。周辺4ヵ国(ラオス、マレーシア、ミャンマー、カンボジア)との貿易額は同+2.6%の4,935億バーツ、中継貿易は同+4.8%の4,188億バーツで、いずれも貿易黒字となった。周辺4ヵ国への主要輸出品目はディーゼル燃料、その他精製油、濃縮ラテックスで、中継貿易での主要輸出品目はドリアン、ハードディスクドライブ、技術的格付け天然ゴム(ブロック状のもの)だった。
2. 投資動向
(1)8月8日付のBOIの発表によると、ビジネスチャンスの創出やタイの自動車部品メーカーの製造技術高度化を促進するため、「自動車部品製造におけるタイ企業と外国企業との合弁事業への奨励措置」を認可したことを明らかにした。付与される恩典は、通常の基準からさらに2年間の法人税免除である。申請可能なケースは、次の二通りある。①新規投資奨励申請プロジェクトは、布告発布日以降に新しく設立された法人で、かつタイと外国の自動車部品メーカーとの合弁事業であり、タイ法人が登録資本金の30%以上の株式を保有している場合。②自動車部品製造事業において既に奨励を受けているプロジェクトで、以前はすべて外国株式だったが、登録資本金の30%以上の割合でタイ自動車部品メーカーと合弁事業を行うことを希望する場合。ただし、どちらの場合においても投資金額が1億バーツ以上であり、2025年末までに奨励の申請が必要となる。
(1)8月8日付のBOIの発表によると、ビジネスチャンスの創出やタイの自動車部品メーカーの製造技術高度化を促進するため、「自動車部品製造におけるタイ企業と外国企業との合弁事業への奨励措置」を認可したことを明らかにした。付与される恩典は、通常の基準からさらに2年間の法人税免除である。申請可能なケースは、次の二通りある。①新規投資奨励申請プロジェクトは、布告発布日以降に新しく設立された法人で、かつタイと外国の自動車部品メーカーとの合弁事業であり、タイ法人が登録資本金の30%以上の株式を保有している場合。②自動車部品製造事業において既に奨励を受けているプロジェクトで、以前はすべて外国株式だったが、登録資本金の30%以上の割合でタイ自動車部品メーカーと合弁事業を行うことを希望する場合。ただし、どちらの場合においても投資金額が1億バーツ以上であり、2025年末までに奨励の申請が必要となる。
(2)タイ商務省の発表によると、2024年1月~7月の商務省管轄の海外直接投資(FDI)件数は460件で前年同期比+22%、認可額は909億8,700万バーツで同比+54%だった。国・地域別で見ると、件数・認可額いずれも1位は日本で、478億7,900万バーツ(117件)だった。認可額順で見ると、2位は香港で121億3100万バーツ(35件)。3位はシンガポールで、74億8,600万バーツ(71件)。以下、中国が71億2,000万バーツ(51件)、米国が34億7,000万バーツ(70件)で続いた。また、東部経済回廊(EEC)への投資件数は137件で前年同期比+88%、認可額は276億7,700万バーツで同比+124%だった。EECへの投資においても日本が1位であり、81億3,800万バーツ(45件)であった。
3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の7月末時点で金融機関預金残高は25兆2,320億バーツ(前年同月比+3.1%)、貸金残高は30兆7,830億バーツ(同+1.4%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の7月末時点で金融機関預金残高は25兆2,320億バーツ(前年同月比+3.1%)、貸金残高は30兆7,830億バーツ(同+1.4%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。
4. 政治動向、その他
(1)憲法裁判所は8月14日、タイ貢献党所属のセター首相の解任を命じた。判決理由は、セター氏が2024年4月の内閣改造時に犯罪歴のある人物を閣僚に任命したことで、任命者が憲法の倫理規定に違反したことに該当するとのこと。8月16日に下院で同じくタイ貢献党のタクシン元首相の次女・ペートンタン氏が首相に選出された。その後、8月18日にワチラロンコン国王の承認を得て、正式にタイの第31代の首相に就任した。新しい閣僚名簿は9月4日に国王に承認された。現政権から民主党が連立与党に入り、国民国家の力党がプラウィット党首の派閥とタマナット前幹事長の派閥に分けられ、タマナット氏の派閥は連立与党に残り、プラウィット氏の派閥は野党になった。ペートンタン内閣の所信表明は9月12~13日の予定。
(1)憲法裁判所は8月14日、タイ貢献党所属のセター首相の解任を命じた。判決理由は、セター氏が2024年4月の内閣改造時に犯罪歴のある人物を閣僚に任命したことで、任命者が憲法の倫理規定に違反したことに該当するとのこと。8月16日に下院で同じくタイ貢献党のタクシン元首相の次女・ペートンタン氏が首相に選出された。その後、8月18日にワチラロンコン国王の承認を得て、正式にタイの第31代の首相に就任した。新しい閣僚名簿は9月4日に国王に承認された。現政権から民主党が連立与党に入り、国民国家の力党がプラウィット党首の派閥とタマナット前幹事長の派閥に分けられ、タマナット氏の派閥は連立与党に残り、プラウィット氏の派閥は野党になった。ペートンタン内閣の所信表明は9月12~13日の予定。
(2)タイ商工会議所が9月2日に、8月中旬からタイ北部を中心とした洪水の損害額は、国内総生産(GDP)の0.05%相当の80億バーツに達するとの見通しを発表した。農業の損害が損害額の89.6%を占め、約72億バーツだった。洪水の影響が原因で農産物供給不足となり、商務省が農産物価格の監視を強化している。8月29日時点の災害防止軽減局の発表は、タイ各地の洪水で、死亡者22人、被災者6万9,093世帯だった。水系の下流はバンコク都のため、2011年のように大洪水になる懸念があり、対策が進められているが、国家水資源事務局のデータでは、2024年は降水量、到来する予測の台風の数はいずれも2011年より少なく、主要ダムの洪水調節容量が2011年より多いため、大洪水にならないという見解。
(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。
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