十字架の下で③
1 川柳
赤、白、緑 どの十字架で墓飾る?
どくだみの避けるすべない花十字
ドクダミの白踏ンづけて 戦車行き
掌(てのひら)の穴のこちらに われの貌(かお)
我が罪を 胸刻むまで 十字切る
「国籍は天にあり」 吾を降ろして横になる
2 川柳の自註
赤十字、ミドリ十字、白十字、色色。黒十字もある。クリスチャンのお墓に十字が刻まれるとき、地方地方の特色もある。長崎で金に塗られた十字を見たこともある。
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どくだみの白い十字を詠んだ俳句は多い。宗教心で詠んだというより、形状の面白さを言葉にしたということだろう。どくだみ自身、己が十字を切っている姿を見ることはない。
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白い十字のすがすがしい花を泥が汚し、血が染める、―そんなむごいことが世界にある。あるというより、絶えない。「戦争をやめて!」と花が呻いている。
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師であるイエス・キリストを裏切ったユダ。胸かきむしって後悔したという。そして、自ら縊(くび)れて死んだ。そのユダの罪深さは、決して他人事ではないのだ。
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人それぞれに国籍がある。自国が好きではないと言う人も、スポーツで思わず応援したくなることがある。国籍は重たいものだ。けれど、真の国籍は「天国」という国だと、イエスは言われた。痛みも涙もない、死の恐怖もない、安らかな国。そんな国が在ったらいいな、と、わたしも憧れるのだ。
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教会の屋根の十字架を仰ぐと、さまざまな思いが湧いてきます。プロテスタントのわたしは十字を切ることはしないのですが、何か厳かな思いが湧いてくることはあります。
大きな寺院へ行って思わず手を合わせたくなる日本人は少なくないでしょう。仏像の前で心静まる時を持つ人も多いでしょう。それと同じように、わたしには、十字架を仰ぐとき、畏れの心がわいてくるのです。