祈りを、うたにこめて

祈りうた(ウクライナ  悪人、そして報い)

悪人、そして報い

 

 

彼は自分を悪人とおもっているか

罪を重ねつづける悪い奴だと思っているか

それとも彼は

自分を善人とおもっているか

正義を行いつづける善い人間だと思っているか

 

おお それとも彼は

ちいさな過ちを犯すこともあるが

自分は真人間だと そう信じているのか

こどもから父親を奪い 住まいを破壊し

そのこどもの命さえもむさぼる彼は

 

わざわいだ 

と神はいわれる

血で町を建て、不正で都を築き上げる者*1

かれは



どのひとが

ひとを裁くや

神と化し

 虐殺の映像を見るとき、はげしい憤りが湧く。思わず拳を固め、「この悪党!」と叫びたくなる。
 だが、そこまで! という声が同時に聞こえる。「それ以上は思うな、願うな、言うな、手を出すな。『悪党』を裁くのはおまえではない」という声が。
 ひとは、神に代わって人を裁くことはできない。



その獣のような眼は力だ

いくじなしから先に戦場へ送る

 

その薄い唇は正義だ

積み木で己の法を築き上げる

 

その肩を左右にゆすぶって歩く時

彼の心臓は民への支配欲でふくれあがる

 

見よ。彼の心はうぬぼれていて、

まっすぐでない*2

 

だが 神を頼りとする者 おまえ

神のことば それを信じようと仰ぐ者よ

 

彼をののしる言葉で自分の口に毒を盛るな

彼の寝床を真っ赤に染める刃(やいば) それをまちがっても望むな

 

あなたは悪しき者の頭を打ち砕いて首までにし、
彼の家の基をあらわにされます
*3

 

だから祈れ 彼の眼も唇も陽にさらされる朝の訪れを

だから祈れ 彼の心臓が罪に泣き伏す真昼の訪れを

 

  *1 旧約聖書「ハバクク書」2章12節
  *2 旧約聖書「ハバクク書」2章4節
  *3 旧約聖書「ハバクク書」3章13節

 

 

●ご訪問ありがとうございます。
 聖書には独裁者の記事が少なからず出てきます。暴虐と、その結末が。改心する独裁者もいます。滅ぼされる独裁者は少なくありません。
 今回、原稿を書きながら、「人がひとを裁くことはできない。裁くのは神である」という思いをいっそう強くしました。
 引用した「ハバクク書」は、暴虐を目の当たりにしたハバククという昔の預言者が、「主よ。私が助けを求めて叫んでいますのに、あなたはいつまで、聞いてくださらないのですか。私が、『暴虐』とあなたに叫んでいますのに、あなたは救ってくださらないのですか」という言葉で始まっています。ウクライナやアフガニスタンやミャンマーやイランなどでの暴虐を、目にし耳に聞きながら私が叫んだことと重なります。
 ハバクク書の結末には、神が独裁者を裁き給うと書かれています。人ではなく、神がなさるのです。人には、実現するまでの時間が短縮されることを真心をこめて祈る、そのことを求められました。
 私も祈ります。


  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ウクライナ2022・2・24」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事