ゆるい・ゆるやか
―ゆるいなあ
この言葉でついひとを裁いてしまう
自分の思ったとおりにならないとき
そのときわたしの眼はとがっている
そう親しいひとから優しく指摘され
自分でもようやく気づきはじめたのだが
あのひとは遅い あのひとは抱え込む
あのひとは無計画 あのひとは口ばかり
あのひとは あのひとは……
そのときわたしの心は傲(おご)りでふくれている
そう妻からずばり告げられ
このままではだめだと自分にいいきかせたのだが
鏡を見ないわたしは
眼のなかの棘(とげ)に痛み切れない
反省をしきれないわたしは
自分の冷たさに凍えない
だが或るとき
―ゆるやか
そんな言葉があると教えられた
―ゆるいでなくて
ゆ・る・や・か
そんな見方接し方があるのだと
なんだか胸のあたりがむずむずしてきた
自分が正しいとおもいこむ
ひとをこうだと決めつける そんな
ぎちぎちの締めつけをわたしはわたしにしてきたのだ
わたしは眉間(みけん)の縦ジワを
指でときおりこすってみる
鏡を見て笑みをつくってみる
胸をさすって心をあたためてみる
―ゆるい
でなくて
―ゆ・る・や・か
●ご訪問ありがとうございます。
気性の荒さが齢とともに露呈してきたと、言われました。まずいと思いながら、気づくとひとを裁いてしまっています。聖書でいう「うなじの強(こわ)い者」、つまり、かたくなで傲慢(ごうまん)な者です。変わりたいと思います。