鬼の哀歌
1
今宵(こよい)の病室鬼が泣く
日の出拝めぬ病負い
夜がこわいと身をすくめ
「死んだらオレはどこへ行く?」
2
ゆるし請うのが恥ずかしい
裁くか嗤(わら)うか脅かすか
鬼の形相(ぎょうそう)得意気に シャバでは
弱いたましい追い詰めた
3
窓の外では樹がこおる
ガラスに映るオレの顔
半分欠けてゆがんでる
憎んだ分だけ薄い愛
4
鬼のまなこにポロリと涙
―ツノの心をほどきたい
―愛の在ること信じたい
―あゝ、生きる哀しみうたいたい
★覚悟の死 覚悟の生のその続き
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。