歩道
1
だんまりでスマホ眺める川の土手 犬よおまえは主(あるじ)が好きか
土手の朝、土手の夕、犬たちが飼い主とともに歩いてくる。その犬に話しかけながら歩く人もいれば、黙って歩く人もいる。なかには、スマホを見ながらの人もいる。主(あるじ)とのせっかくの散歩である。声をかけられたり撫でられたりしたらうれしかろう。
どんな主なら、その犬は今日の散歩に満足するのだろうかと、犬を飼っていない私は、余計な心配をしてしまう。
どんな主なら、その犬は今日の散歩に満足するのだろうかと、犬を飼っていない私は、余計な心配をしてしまう。
2
譲るとき礼して急ぐ老婦人 顔まっすぐに過ぎる若ママ
近所の歩道は狭い。すれ違うときに、お互いドシドシ歩いてはいけない。電柱がある所などは一人しか通れない。
ある日、向こうからやってくるお婆ちゃんがいた。電柱の近くで、ほぼ同時に気づいた。わたしが先に止まった。すると、それを見たお婆ちゃんが、急ぎ足になった。そして、「スミマセン」と言いながら、脇を通っていった。
温かな空気が漂った。
ある日、向こうからやってくるお婆ちゃんがいた。電柱の近くで、ほぼ同時に気づいた。わたしが先に止まった。すると、それを見たお婆ちゃんが、急ぎ足になった。そして、「スミマセン」と言いながら、脇を通っていった。
温かな空気が漂った。
別の日、子どもを乗せた女性が自転車をこいでくるのが見えた。また電柱である。わたしは、そのときも止まった。すると、野球帽をかぶったその女性は、顔をまっすぐ前に向けたまま、脇を走り抜けていった。
ちょっとだけ風が吹いた。
ちょっとだけ風が吹いた。
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