次に函館周辺では、木古内~松前間の松前線が88年2月に、函館本線の長万部近くの国縫~瀬棚間の瀬棚線は87年3月、そして倶知安と伊達紋別を結んでいた胆振線が86年11月、そしてその少し北側になる岩内線が85年7月に廃止されているのであります。さらに小樽では国鉄手宮線(貨物)が85年に廃止になっているのであります。手宮線については、すでにこちらでレポートしているのでご覧いただければありがたいのであります。
廃線は道南の函館本線沿線だけではなく、室蘭本線沿線では国鉄富内線(86年)、国鉄万字線(85年)、札幌以北の函館本線沿線ではJRになってから廃止された幌内線(87年:こちらもレポート1 レポート2あり)、歌志内線(88年)など数えるのが面倒になったのでまたの機会にしたいと思いますが、とにかく沢山廃止になったのでありますので、まだまだアタクシにとって残されたサンクチュアリはいっぱいあるのであります。
さて、今回のタラタラ散歩は夏休みの8月上旬に実施したものであります。アタクシのポリシーといたしましては、廃線探訪は基本的には、クルマではなく歩きでいくことでありますので、正攻法というべきでありましょうか、函館本線の列車で小樽から倶知安まで行って、胆振線の跡をちらっと見て一つ手前の小沢を起点としていた岩内線の跡を見つけにタラタラすることとしたのであります。
ここからは、少しトーンを変えて「乗り鉄紀行文」では第一人者の宮脇俊三さんの名著「時刻表2万キロ」を多少まねて書いてみるのであります。
小樽駅午前8時7分発函館本線上り長万部行き普通は窓が大きい新型のキハ150と旧国鉄のキハ40の新旧車両の二両連結。
(キハ150系 今年は冷房装置が大活躍・ちなみにキハ40系は冷房なし)
小樽の駅は、函館と旭川を結ぶ幹線である函館本線にあるが、函館方面に行く列車と札幌方面に行く列車はまったく違う姿をしている。一部例外はあるものの、函館方面は1~2両のディーゼルカー、札幌方面は3両から8両編成のいわゆる電車である。都会へ向かうのと田舎へ向かう格差がはっきりと見て取れる駅である。
発車時間がせまってきた。久しぶりの列車の旅であるが、駅に停車中のディーゼル車のエンジン音はダラダラ、ダラダラという音に聞こえて、どうも気合いが入らない。余裕で座れると思いホームの端から写真を撮っていたりしたら、いつの間にか、ホームに列ができていた。座れないと先は長いのでえらいことだと、先頭車のキハ150に慌てて飛び乗る。乗客で椅子席は満員で、乗客はリュックを持った山歩きのスタイルの御仁、帰省の人、そして一般客が1/3づつという感じでそれぞれがおにぎりを食べたり、バックをいじってみたり、こっくりとしたり、出発前の慌ただしさが感じられないローカルな世界である。
ダラダラエンジン音が少し甲高くなると出発である。小樽駅を出たら左にカーブを切りながらいきなり20パーミル近い登り勾配を上がり続ける。この先も寄り添いながらほぼ同じルートをとる国道5号線と絡み合いながら長橋を抜け、松多浦のトンネルを抜けるとようやく視界が開ける。すると塩谷の駅である。東京ロマンチカの「小樽の人よ」で出てくる「二人で歩いた塩谷の浜辺♪」で有名(?)であるが、駅は山の上で海からは全く見えない。ここからすでに無人駅。ホームの端はそのまま歩道で民家に向かっている。
(右に行くと改札なしに民家があります)
塩谷を出ると線路の周りは窓に届くくらいのずんずん伸びた夏草で、それをかき分けながら走っていく。冬は雪をかき分けなければならないので、北海道の鉄道は、夏も冬もかき分けることが好きなんだと思うのは変かな。
海岸沿いの丘陵を抜け、夏は海水浴で有名な蘭島まで下りる。下り小樽行きと交換(すれ違い)。相手はキハ150系での二両編成。しかし、もう少しこの辺で人が降りるかと思いきや、一向に空かない。小樽で乗車列に並ばなかったせいで前方視界の良い席を取られてしまったままである。首を伸ばして前方窓を見るのもつらい。視界の良い席は、小太りの男が夢の中でだらしなく寝ている。その横には携帯に夢中になっている中年夫人にせっかくの景色を邪魔されたままでいらいらがつのる。
(こちらは帰りに撮った写真であります。函館本線(山線)にしてはまっすぐなところです)
余市に向かってスピードを上げて一直線の海岸線を走りぬけて、左にカーブをきると余市に到着。ニッカウィスキーの故郷である。昔TVCMで見たウィスキー工場は人里離れた雪深いところにあるようで、こういうところでないと美味しいウィスキーはできないのかと思っていたが、実は工場は駅から100mもないところにあるのである。実際に見に行ったときはショックだった。騙されたと思ったくらいショックだった。それが自分が広告業界に入るきっかけになったのとは全く関係ないのだが。
(前ふり2へ続く)
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ほいほい
ほろ酔い乗り鉄同好会会長
りばてぃ
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