iPhone等の販売台数の発表を辞めた理由も語ってます
その主な原因は、中華圏でのiPhoneの大幅な売上高の減少であるとのこと。また、iPhoneの買い替え需要が振るわなかった要因の1つとして、期間限定で行ったバッテリー交換値下げプログラムが挙げられています。
その中でも顕著だとされているのが、iPhone売上の予想を下回る低調ぶり。「予測の下方修正のすべてを占めており、前年同期での収益減少をはるかに上回るもの」「iPhone以外の分野(サービス、Mac、iPadなど)は前年比で19%近く成長しました」として、アップル製品の中でもiPhoneのみが絶不調だったと語られています。
iPhone需要の厳しさは、中国経済が2018年後半に減速し始めた事情に加えて、米中貿易摩擦による緊張の高まりにも影響を受けたとのこと。中国内の小売店や販売代理店での売上は同四半期が進むにつれて減少したとしつつ、中華圏のスマートフォン市場の縮小は特に激しかった(iPhoneだけが落ち込んだわけではないと示唆)としています。
さらにiPhoneの買い替え需要が伸び悩んだ理由として、携帯電話会社の補助金の減少や米ドル高に基づく価格の上昇に並んで、先述のバッテリー交換値下げが挙げられているのも興味深いところです。
米アップル関連情報サイト9to5Macは、かつてクック氏が「バッテリー値下げプログラムがiPhoneの買い替えに影響を与える可能性があるのか?」との質問に答えたコメントを引用しています。
実際、電池劣化iPhoneの意図的な低速化が明るみになった当時、「古いiPhoneを買い替えさせるためではないか?」との非難が向けられていました。アップル側は完全否定して「突然の電源断を防ぐため」と説明していましたが、実際に割安なバッテリー交換は買い替えにブレーキを掛けたようです。
その後クック氏は米ニュース専門放送局CNBCに出演して、この手紙の補足説明をしています。ほとんどは同じ内容を反復して語っているにすぎませんが、目新しいのがアップルがiPhoneやiPad、Macの販売台数の発表を取りやめた件に言及しているくだりです。
クック氏はiPhoneが機種によって価格が大きく異なるため、全体の販売台数を報告する理由はほとんどないと説明。そうした方針を始めた初期の例としてApple Watchを上げ、モデルごとに価格が異なるために販売台数を報告しなかったと述べています。
そして「再び販売台数にコメントするつもりがないという意味ではありません」「業績をより良く説明することができると考えれば、喜んで情報を出しましょう」と含みをもたせながら「一般的に90日ごとに公表するのは、投資家に害を与えると思います」ということで、しばらく発表の再開はなさそうです。
最後にクック氏は、アップルがサービス事業の売上総利益率の報告を開始すると発言。「サービスは信じられないほどの売上に成長しました。我々は前四半期の108億ドル以上の業績を発表する予定です」とのこと。自社にとってプラスとなる数字は発表し、そうでない数字は伏せるという、営利企業として至極当たり前の方針が語られています。