かつてのモンスター「VAIO Z」はもう過去のもの
VAIOはSラインの最新モデル「VAIO SX14」を発表しました。パソコン市場の流れを受けて、大画面・高解像度へ一歩踏み出し、フットプリントは従来の「VAIO S13」とほとんどかわらないながら14インチ液晶を搭載。さらに4K解像度も選択可能となっています。価格は税別13万9800円から。本日から予約開始となり、発売(最速お届け日)は1月25日になります。
モバイル性能と大画面化を両立
「VAIO SX14」が目指したものは、モバイル性能を損なうことなく、より大画面化することでした。そのため、フットプリントは13.3インチ液晶を搭載する「VAIO S13」とほぼ変わらない約320.4(W)×222.7(D)×15.0~17.9(H)mmのサイズ。そこに14インチ液晶を搭載することで、狭額縁化を図っています。
しかも、液晶を大型化しながら重量はS13より軽い約999g(最小構成時)を実現。これまでS13クラスをモバイルとして使ってきた人なら、まったく遜色なく利用できるレベルに仕上げています。
重量を軽減させた1つにUDカーボンを使った「カーボンウォール天板」の採用があります。超弾性UDカーボンが面で強度を確保することで、狭額縁の構造でも従来モデルと同等以上の剛性を保て、マグネシウム合金の場合より約30%の軽量化が図られているとのことです。これにより、天板のデザインはS11と同じ感じになりました。
UDカーボンは東レと共同開発したもので、同じ荷重を加えたとき従来のものよりたわみが少なくなるように積層。もちろん、これまでどおりのペン挟み試験や液晶180度開きひねり試験など。さまざまな堅牢性試験をクリアしています。
狭額縁となったことで、これまで液晶上部に配していたアンテナが従来のものでは入らずに再設計。アンテナをL字に立体化することで、受信感度を落とすことなく狭くなったスペースに収まるようにしています。アンテナはより高い位置にあるほうが受信感度はいいため、この位置にこだわった結果です。
▲上が新しく設計したアンテナ、下は従来のもの。アンテナ部分をL字に曲げたほか、ケーブルも細くなっている
▲上が今回のモデル、下が従来モデル。カーボンと外周の隙間にケーブルをはわすことで、液晶上部にアンテナを配している
▲アンテナは、液晶上部に配することで、受信感度を高めている
もちろんSIMフリーLTE搭載可能で、3大キャリアの運用バンドに広く対応。キャリアアグリゲーションに対応し、理論値最大450Mbpsの通信が可能です。
「VAIO A12」で採用されたPD対応のUSB Type-C端子も搭載。ACアダプターだけでなくPD対応充電器でも急速充電ができます。また、一般的な5V充電器でも充電可能で、モバイルバッテリーを接続して動作時間を延長させることも可能です。USB 3.1 Gen2やDisplayPort 1.2に対応し、ドッキングステーションと組み合わせれば、デスク上で使う環境とモバイル利用をケーブル1本で切り替えられます。
▲USB Type-C端子にモバイルバッテリーを接続して、延命を図ることもできる
そのほかのインターフェースは従来と変わらず、VGAもHDMIもLANも装備。キーボードやタッチパッド周りはS13と同じで、タイピングの静寂性や防汚加工、フラットアルミパームレストやチルトアップヒンジによる無限パームレストなどの快適さは受け継がれています。
▲従来モデルに備わっていたインターフェースは、今回のモデルでも踏襲され装備されている
究極のパフォーマンスを求めて
画面サイズが大きくなったことで、4K解像度の液晶を選択できるようになりました。14インチで4Kだと、当然100%表示は文字が豆粒のようになりかなり厳しいですが、200%表示にしたとき文字のディテールがくっきりとして見やすくなるメリットがあります。また、縮小表示したり写真や動画はフルHDより繊細に表示されるので、写真を現像したり編集する際は作業しやすくなるでしょう。
▲4K解像度で100%表示にしたときの画面。さすがにこれだと文字は読めないので、175%から200%表示がオススメ
そして、VAIOが今回こだわったのは、パフォーマンスのさらなる向上です。従来から「VAIO TruePerformance(VTP)」として、インテル ターボ・ブースト・テクノロジー2.0の動作に対して、電源周りを強化し、放熱能力を向上させ、より高いパフォーマンスで長時間持続できるようにチューニングしたVAIO独自の技術です。Core i7とCore i5の4コア8スレッドのプロセッサーが対象で、今回CPUが最新のものになったことで、さらなる向上を図っています。
従来のモデルはCore i7-8550U(1.80GHz/最大4.00GHz)プロセッサーでしたが、今回のモデルではCore i7-8565U(1.80GHz/最大4.60GHz)プロセッサーを搭載。電源周りを改良しつつ、いかに熱量をコントロールするかに挑戦しています。
まずノイズを封じ込めるためのシールドに従来よりたくさんの穴を開けることで、温度を1度改善。基盤が高温になり、ネジを伝って底面が熱くなるのを防ぐべく、ネジと基盤との接地面積を極力少なくして、緩やかに熱が伝わるようにしています。
▲上の写真で、シールドをサイドまで穴を開ける(左側)ことで、少しでも熱をこもりにくくし、下の写真のようにCPUを覆うようにしている
▲中央にあるネジ穴には、穴を多く開けて熱が伝わりにくくしている
また駆動時の熱分布を解析し、極端に高温になるホットスポットを遮蔽板や傾斜をつけることで風の流れをコントロール。効率よく空気を吸い込み、熱を吐き出すようにしています。さらに、Core i7搭載モデルのみ放熱フィンとヒートシンクの素材に銅を採用。より冷却効果を高めています。
▲下がCore i7モデル専用の銅製サーマルモジュール。上はそれ以外のモデル用
こうした努力により、従来よりCore i7モデルで約15%、Core i5モデルで約7%の性能アップを達成しています。また、VTPオンとオフのときの差は、Core i7モデルで約25%、Core i5モデルで約15%も性能アップを達成。この差は同等のマシンと比較しても大きな差となります。
VAIO SX14ベンチマーク動画
ちなみに、第6世代のCore i7-6567U(3.30GHz/最大3.60GHz)プロセッサー(TDP 28W)を搭載した「VAIO Z」と比較すると、約倍の性能となっています。今後Zが復活するかは定かではありませんが、Zから乗り換えても遜色ないかそれ以上の仕様であることは確かでしょう。
VAIO SX14 vs VAIO Zベンチマーク対決
人気のブラウンとALL BLACK EDITIONも用意
ボディカラーは、ブラックとシルバーのほかに、S11で人気のあったブラウンを用意。オーナメントとロゴをゴールドにすることで、より落ち着きのある色合いになっています。また、恒例のALL BLACK EDITIONも設定されており、こちらはCore i7モデル限定となっています。
▲Newブラウン色となりオーナメントとロゴは金色になっている
▲恒例のALL BLACK EDITION。箱もブラックで統一
そして、今回キーボードは日本語・英語配列が選択できるだけでなく、無刻印の日本語と英語配列も用意されているという、こだわりのマニアにとってはかなり嬉しい仕様ではないでしょうか。
▲無刻印キーボードも選択可能に。しかも日本語・英語配列どちらも選べる
▲英語配列のキーボードが好きな人は結構いるはず
このように、VAIOは法人へ向いてしまって個人ユーザーに対してはおざなりになってしまったと感じている方もいるかも知れませんが、今回のマニア心もくすぐる仕様とパフォーマンスの高さは、またVAIOに振り向くきっかけとなるのでしないでしょうか。
「VAIO SX14」はプロセッサーをインテル Core i3、i5、i7から選択できますが、だんぜんVTPの恩恵を受けられるCore i5以上を選択することをオススメします。液晶はフルHDと4Kの価格差が2万円なので、メモリーやSSDを含めて総合的に判断し予算に合わせてチョイスするといいでしょう。VAIOのオンラインストアとソニーストアオンラインでは本日から予約開始し、1月25日より量販店を含めて販売開始します。