ロバのパン屋はトンカラリンと曲を流しながら、
ロバが引っ張るパンが乗った屋台が、近所までやってきて、
走って買いに行っていました。
私はいつも白い蒸しパンでした。
今でも、ほのかに甘い蒸しパンは好きです。
でかい三角の蒸しパンをギュッと握り固めて、
ボールのようにして、かじりつく。
口の中で、ヌチャヌチャして、食べ応えが有って、
飢えている子供は、喰った感がして、至福の時でした。
昔は蒸しパンの下に白い紙が必ず引っ付いていて、
そのまま剥がして食べるのを忘れ、半分ぐらいまで気づかず、
一緒に食べていました。
気づかず先に握ってしまった時は、最悪でした。
中に入り込んで、取るのに四苦八苦。
紙を取っている間に、ポロポロ崩れ、落ちていきます。
やっと取れたら、下に落ちた破片を拾い集め、本体に合体させていきます。
その破片には、いろんな物が引っ付いていて、味が変わります。
ある時は、中に入った紙ごと食べて、食べながら紙を引っ張り出します。
中々、テクニックがいります。
これは、やっぱり、味わうことに集中出来ませんので美味しくないです。
今でも、たまに買って食べては、同じ失敗をします。
何にも進歩しないアホのオッサンです。