父が使っていた備中鍬。
胸がまだ痛むので力が入らない。
それが良かった。
すとんすとんと落とす。
ザクっザクっと土に入っていく。
幕末の江戸で大人気になっただけのことはある。
若干前方をめがけて斜めに入れる。
力はいらない。
備前刀にも負けないたたら職人の魂、その重みで土に入っていく。
テコの原理で柄をたてる(これですでに土はもっこり大地から離れている)。
鍬を手前に引きながら爪に半分くらいの土をつけたまま(ここがコツ)持ちあげる。
このときだけ力を入れる。
しんどいときは持ちあげる土の量を
すくのうすりゃええんじゃ。
隣の農業大先輩Nさんが言っていた、
その意味をはじめて知る。
けっこう深く耕せる。
さすが、山田方谷先生。
これでごりごりの階級意識をも掘り起こしたのだ。
前に進むか?後ろに進むか?
最初は土が固いので前進。
2度目以降は後進することにした。
自分の脚で踏み固めてしまわぬように。
石灰と肥料の捲き方も知らなかった。
なんでも手探り。
もう一度、すとん、すとん。
畑仕事は力をこめるのではなく手間をかける。
じゃけー老いてもできるんじゃなぁ。
なにかを<知る>ためには
考えるよりもやってみること。
へたでもやり続けること。
毎朝10分(フランス語を30分聞いた後)
鍬入れのベーシックトレーニングをすることにした。
うまくなろうとか試験に合格しようとか考えない。
欲を持たず、
日々の鍛錬そのものを楽しむのだ。
毎日やるぞと思いながら、
すとん、すとん。
何度か鍬を入れていると土がほこほこになって、
笑っている。
春の香りがする。
(実は鶏糞の香り)
最新の画像もっと見る
最近の「日記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事