JR九州に在籍していた485系は、1980年代に新幹線開業で特急列車の運用廃止になり、余剰となった車両が仙台、青森、金沢、向日町などの各電車区から転属してきた。ここでは、特急有明、かもめ、みどり、きりしま、ひゅうが、ソニック、にちりん、ハウステンボスといった特急列車から、さわやかライナーといったライナー列車まで運用されてきた。JR後は国鉄色→ハウステンボス色、レッドエクスプレス色、濃緑色(きりしま、ひゅうがに充当)、と人気を博した。もちろん、車内もシートモケットを変えたり、半室グリーン車を備えた車両もあった。しかし、787系、883系、885系といった特急列車が登場すると、速度面や設備面で劣る485系も徐々に引退した。そして、2015(平成27年10月18日(日)の大分→小倉総合車両センター間の団体臨時列車でラストランを迎え、485系は約30数年の活躍に幕を閉じ、引退した。
JR九州で最後まで残っていた485系は、大分車両センター所属Do32編成。車両は「クハ481-256」。2010(平成22)年8月に鹿児島総合車両所で国鉄特急色へ塗色変更された編成である。そのほかJNRマーク復元、車両番号の復元、飾り帯(車両前面上部と下部にあるステンレス製の金属)の設置がなされ、国鉄時代の姿を再現できた。ただ一方で全面貫通扉は、踏切事故やすきま風対策(これは、青森電車区在籍時より乗務員から不評があった)の防止の観点から、封鎖されてしまった。
ヘッドマークは「にちりん」。シンボルマークも健在。
行先表示は「特急Lにちりん・小倉」。
同車の経歴は上記画像の通り。新製から9年間は青森電車区(現:JR東日本青森総合車両センター)で、やまびこ、ひばり、やまばとで活躍した。南福岡電車区時代は、かもめ、みどり、有明、ソニック、ハウステンボス、JR後は、大分電車区、鹿児島総合車両所では、きりしま、ひゅうがに充当していたと思われる。
保存に際し、復元された車両番号とJNRマーク。
鹿児島総合車両所、車両表記(定員、型式、自重、換算)、検査表記。銘板2枚。
クハ481-256妻面。ジャンパ栓、横揺れ防止車端ダンパーといったアイテムが見られるのも全国でここと新津鉄道記念館、鉄道博物館ではないか。
TR69H台車。
TR69H台車銘板。1980(昭和55)6月に近畿車両で製造されていた。
全国の特急列車を数多く運用してきた485系電車。引退は寂しいが、それでも多くの特急列車の運用をこなした数々の功績は大きいと思う。
撮影日→2017(平成29)年10月15日(日)/場所→ JR九州小倉総合車両センター構内(一般公開)
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