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【鉄道模型分類学】日本版エポックは元号で

2020年05月05日 | 鉄道模型分類学

 さて、鉄道車輌の歴史を時代ごとに区切るということを明確に実践しているのがドイツを中心としたヨーロッパの鉄道模型界。いわゆる「エポック(Epoche)」です。

 これは実物の鉄道の発達史のおおよその節目になる変化のあった時期を「紀元=エポック」を境として、車輛の新造や仕様の変化などを分類するという考え方です。

 

 本家ドイツのエポックは大雑把には下記の通りとなっています(”Ep.”は”Epoche”の略、以下同)

 

Ep,0(※)1835~1870ごろ ドイツ統一前の黎明期

Ep.I:1870~1920ごろ 連邦国家・ドイツ帝国誕生から第一次世界大戦まで 

Ep.II:1920~1945ごろ ヴァイマル共和国~ナチス・ドイツの時代。

Ep.III:1945~1970ごろ 敗戦・東西ドイツ分離後の荒廃・停滞期

EpIV:1970~1990ごろ コンピューターナンバー導入~東西ドイツ再統一

Ep.V:1990~2007ごろ 再統一・民営化~UIC番号導入

EpVI:2007ごろ~ UIC番号導入後~現在

 

 鉄道の管理のされかたが大きく変化した年が各エポックの境目になっているわけですが、もちろん塗装変更とかが全車輌へ一気に及ぶとか、そんな話はない訳でして、実際には複数のエポックにまたがったり、メーカーによってはエポックをさらに細分化することもあるので、あくまで大雑把な目安にしか過ぎません。

(あ、ワタシは外国型の鉄道にそんなに明るいワケじゃないので、ツッコミは大歓迎です)。

 

 本題に戻って、車輛を分類するために日本の鉄道史を区切るにあたっては元号を用いるのが便利そうです(※2)。

 

明治(1871~1912):日本鉄道黎明期。官営鉄道と民間により主要幹線が整備されていった時代。車輌面の主役は輸入蒸気機関車。

大正(1912~1926):主要幹線の国有化と鉄道院発足に伴う制式機の制定による整理統合。蒸気機関車国産化の進行と電気機関車・電車の本格導入。

昭和戦前(1926~1945):鉄道省への昇格、新形式称号規定の制定。電気機関車・電車の国産化。

昭和戦後(1945~1988):戦後復興と日本国有鉄道の発足から解体まで。おそらく読者の皆様がイメージするであろう「国鉄時代」。

平成(1989~2019):JR時代。航空路線・高速道路・新幹線網の発達による長距離鉄道輸送の衰退、地域事情に合わせた車輌仕様の多様化。

令和(2019~):はてさて、どうなることやら。

 

 こんな感じで元号ごとに分けると、長い昭和を分割するだけで技術史・運営史・形式称号史もそこそこキレイに分類できそうです。そこは本家本元のエポックも厳密ではないので、分類の目的次第で、分類する人の都合の良いように解釈すればいいんじゃないかと思います。

 

 次回からが本題。それぞれの時代ごとに車輌の分類を提案してみたいと存じます。それでは。

 

※1(Ep.0について) Wikipediaの「ドイツ鉄道史」などに見られるけど市販の模型製品への記載はワタシの経験上見たことはないです。例えば、ドイツ最初の機関車「アドラー」はミニトリックスやホビートレインが製品化しているのだけど、検索するとEp.I扱いだったりするのです。連合・連邦を構成する諸国の王立鉄道や私鉄がバラバラに運営するという形は一緒なので、向こうの模型業界的にはEp.Iと同一視するのが主流なのかもしれません。

 

※2:ワタシの個人的な信条として「ビジネスや公的な現場からは元号を一掃すべし」とは思ってますが、ここは「使って便利なものは使ってしまえ」ということで。

 



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