えびみそのタイ冒険

2020年末にタイに移住し、自分と向き合う毎日を送る45歳の青年"えびみそ"の物語。

#135 彼女との未来

2022-10-24 06:31:00 | 

仕方ない。

悪いのは、彼女じゃない。

そして、僕でもない。

僕はやっぱり、淋しがり屋なのだ。

一緒にいたい。

でも、束縛したくない。

自由が僕にとって、

彼女にとって大切な事を分かっているから。

執着は彼女自身を

僕自身を良くない方向に向かわせてしまう。

僕は彼女を縛りたくない。

彼女に執着するような発言をしたくない。

そうすると、自分がどんどん狭くなってしまう。

そして、

僕には仕事がある。

これが一番だ。

子供たちが日本にいる。

そのために、

欲する、欲しないに関わらず、

僕は会社で働かなければならない。

働いている限り、

夜の世界との関わりを断つことは出来ない。

そして、

彼女はいつも僕のそばにいる訳ではない。

彼女は、

チェンマイに家を買った。

娘がチャンワッタナにいるのは仕方ない。

僕だって息子最優先だ。

でも、

遠くチェンマイにいるのは別だ。

この状態は、厳しい。

仕事を辞めて、

僕だってチェンマイで暮らしたい。

でも、無理だ。

今は無理なんだ。

彼女と二人で暮らせていけたらどんなに良いか。

でも、

僕にはその自由は無いのだ。

悪いのは、彼女ではない。

しょうがないのだ。

そういう境遇なのだ。

そういう状態なのだ。

それが遠距離恋愛であり、

僕の不自由さであり、

僕の不器用さであり、

僕の誠実さなのだ。

僕自身への。

彼女への。

彼女には不誠実に映るかもしれないが、

これが僕の一番正直な生き方なのだ。

どうにもならないのだ。

でも、

彼女には言い訳はしない。

説明をすることの無意味さ、

情けなさ、

虚しさを一番分かっているのが僕自身だ。

これで続かないのであれば、

所詮それまでの繋がりだったのだ。

昔のように

いつも2人で屈託なく笑い合うことができないのは

辛い。

でも、

仕方がない。

そうなってしまったのだ。

執着すれば、

もっと大切なものを失ってしまう。

そして、

僕は執着してしまうのだ。

しっかりしていないと。

そして、

僕は彼女が執着を最も嫌う事を分かっているのだ。

彼女自身も。

そこに未来はない。

それが、

彼女の正直な生き方であり、

僕の正直な生き方なのだ。

それを彼女に説明する事は出来ない。

彼女自身が状況を作っており、

それを僕は説明する事が出来ない。

これもまた

真実なのだ。

自分を責めるべきではない。

彼女を責めるべきではない。

それは、運命なのだ。

当然の帰結なのだ。

その先に、

一緒にいる未来があるかどうか。

ただ

それだけなのだ。

見てみよう。

焦らず、

飾らず、

偽らず、

見てみよう。

待ってみよう。

未来を。

行き着く先を。



#115 歩き続けるしか

2022-07-12 12:19:00 | 

おかしな事ばかり起こる。


最も親しい会社の同僚の母親が

実家で原因不明の突然死を迎え、


恋人の親友の父親が牛に蹴られて亡くなり、


もう一人の同僚の父親が心臓麻痺で急逝。


元総理は狙撃され、


自分は新型コロナに感染する。


新製品からは危険な液体が漏れ、


総務部長は辞表を提出した。


オマケに、行きつけのトンカツ屋のご飯は

芯が残る信じられないような不味さだった。


世の中の流れが何かおかしい。


何が起こっているのか。


いや、

きっと何も起こっちゃいないのだろう。


それでも

僕は生きていかねばならない。


受け入れなければならない。


全てのことを。


そして、

なるべく自分らしく立ち向かうのだ。


それが必ずしも

世の中を良くする方向に結び付かずとも。


みんな

歩き続けるしかないのだ。



#108 大切なのは

2022-06-18 06:25:00 | 
大切なのは、

一人ゆっくりと、
カフェのテーブルに座って、
コーヒーを飲みながら、
外の景色をボーッと見つめている事。

そして、

気がついたように手にした本に目を戻し、
そこに書かれた字を目で追う事。


#106 人生は、ハードボイルド

2022-06-12 07:43:00 | 

人生は、ハードボイルド。


46歳。


まだ守りに入るには早過ぎる年齢かもしれない。


休めず、癒されず、

次々難題が訪れて、

体力的にも精神的にもボロボロになる時が

まだあるのだろう。


そんな時は、

二日酔いと寝不足の身体に

濃いコーヒーを流し込み、

自分のデスクで一人悪態をついて、

しかめ面で次の波を待つ、

そんな時もあるだろう。


健康ばかりは考えていられない。

無理をしたくなくても、無理をする。


それでこそ、小説の中の主人公。


まだまだ休むには早過ぎる。


誰に嫌われても、

誰に煙たがられてもお構いなし。


自分を中心に世界が回る。


空気など読まないで部下に指示を出し、

全ては自分流の、自分節。


自分主義の、自分スタイル。


自分は類を見ない稀有な存在で、

誰もやったことがないような経歴を積んでいる。


底が知れず、

世界が広い。


何を考えているか読めず、

クセのある難物。


そういう事だ。


頭は悪くないのに、

集中力を失うという人生の試練を受け入れて

知識階級から脱した順子さん。


冷蔵庫の音が嫌いで、

家族との縁も捨てた三宅さん。


しがみついていた家族と別れ、

遠くタイで自分らしく生きようと努力するえびみそさん。


何かを捨てる決断は、

誰にでも出来るものではない。


何かを捨てて、

そして得る。


それには、

人生を賭けても良い何かがある。


自分の生き方次第。


捨てるという事。



#104 人生という名の小説

2022-05-27 07:45:00 | 

僕は今、スラタニ。

彼女は今、チェンマイ。


僕は身動きの取れぬ会社員で、

彼女は自由な個人事業主。


僕は猫が好きで、

彼女は犬好き。


僕は彼女の眼と声が好きで、

彼女は僕の大きな頭と年齢が好き。


僕には日本に2人の息子がいて、

彼女にはバンコクに中学生の娘がいる。


僕はタイ語が下手で、

彼女は英語が下手。


僕はバツイチで独身、

彼女もバツイチで独身。


僕は人生に勉強と探究を求め、

彼女は人生にお金とユーモアを求める。


僕は読書が好きで、

彼女は映画好き。


僕はウォーキング好きで、

彼女はインドア派。


僕は束縛を最も嫌い、

彼女は嘘を最も嫌う。


2人とも古着好きで、

2人とも自由主義。


2人は、誕生日にもらった、お揃いのブレスレットをしている。

人とお金が集まるタイガーアイ。


良いカップルだと思う。

なかなか得難い、大切な存在だ。


彼女とずっといつも一緒にいられれば良いのに、と思う。

彼女もそう思っている。


しかし、実現しない。


だから、自由なのだ。


だから、きっと良いのだろう。


いや、良いかどうかは分からない。


ただ、そのように流れていくしかないのだから。


最も忌むべきものは、

執着なのだから。


きっと。


2人にとって。