・必須脂肪酸Essential fatty acid ひっすしぼうさん
不可欠脂肪酸ともいい1930年頃にミネソタ大学のブルBurr夫妻が、発見しリノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸の3種類をいう。
人体で合成不能で食物から取る必要があるが、不足することは少なく総エネルギーの最低4%の摂取が望ましいといわれる。1970年代には身体の調節作用、脳の神経活動に必要な脂肪酸のあることが分かった。ビタミンFと呼ばれることがあるが現在では多価不飽和脂肪酸 (PUFA:Poly Unsaturated Fatty Acids) と一般にいわれる。主に糖質からも中性脂肪として蓄えられ体内で飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸を合成して効率のよいエネルギー源となる。ホルモン様働きを示すプロスタグランジンProstaglandin、トロンボキサンThromboxane、ロイコトリエンLeukotriene等を体内で生成するのに関与する。
近年アラキドン酸がリノール酸より体内で合成されることがわかっているが、いずれもエネルギー代謝に関係し、血小板の凝固、粘度の調整、動脈血管壁筋肉の弛緩、収縮に関与し重要な役割を果たす。近年はリノール酸の過剰摂取によってアトピー、血栓を作りやすいことの指摘がある。
必須脂肪酸の欠乏によって皮膚炎、発育不良を起こすことが知られる。FAO/WHOで総エネルギーの最低4%(1日の総エネルギーを2000kcalとすると80kcal)を食品より摂取することを勧めている。2004年、ISSFAL(International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids)の必須脂肪酸の1日あたりの摂取量の勧告では、リノール酸の適正な摂取量は全カロリーに対する2%~2.4%、α-リノレン酸の健康的な摂取量は0.5%~1.0%とし、冠動脈を健康に保つためにEPAとDHAを合計0.5%で最低500mg必要としている。
ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。