エロゲ感考おきば

エロゲの感想をメインに、時たま考察を綴ろうと思います。ネタバレありで書きますが、注意書きは入れるようにします。

銀色、遥か_雪月√感想

2019-02-07 14:56:43 | エロゲ感想


このゲームについて
個別√の感想ブログでゲーム紹介するのはどうかと思いますが、一応この感想からこのゲームに興味をもってくれる人が居るかも知れないので、念のため手短に紹介しようと思います。

このエロゲは、中学生編、高校生編、アフター編の3つの時期の物語で構成されていまして、つまり中学から成人までヒロインとイチャイチャできるエロゲになります。当然、3つシナリオがあるのだからボリュームも普通のエロゲの3倍なわけで、したがってえちシーンも3倍です。けれど残念ながら中学生編にえちシーンはありません。その分、高校生編の量が多めのようです。
実際プレイしてみたところ、だいたい一人分のシナリオでもエロゲ一本分あったかもしれないと思える程です。それでもグラフィックの質が落ちることがなかったし、それがヒロイン五人分あると考えるとすごいです

雪月について
内気で甘えん坊な妹で頑張り屋さんです。アフター編まであるのでそうはいっても少しずつ成長していき、性格も少しずつ変わっていきます。もちろん変わらない部分もあって、この二つを見ていると何ていうか微笑ましい気持ちになりました。
リドルジョーカーの七海ちゃんに声が似ているなと思ったら、同じ声優のくすはらゆいさんが声を当てているようです










※これから先ネタバレ入ります。(ネタバレダメな方はブラウザバックしてね)







ストーリーに関して

・中学生編

 この頃の、雪月ちゃんはとても内気で兄妹の関係もどこかぎこちないものでした。恥ずかしがり屋で、「お兄ちゃん」の一言がなかなか言えなかったのです。そんな中「ワンルーム教室」という学年の関係ない授業(レクリエーション)で自分の番でお菓子作りをします。その後もほかのメンバーと一緒にいるうちに、「お兄ちゃん」と呼べるようになりました。そしてそれ以来、お兄ちゃんと呼べるようになったことが嬉しかったのか、もともと思うところがあったのか、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と甘えてくるようになりました。この時の雪月ちゃんが無邪気でホント可愛くって思わずニヤニヤしました。雪月ちゃんと添い寝して、朝起こされて、休日に二人でスイーツを食べに出かけ、一緒にお風呂にだって入りました。もちろん水着がありましたが。

 そういうわけであまあまベタベタな生活を送っていたわけですが、ずっとは続きませんでした。雪兎(主人公)と雪月は中学生です。次第に雪兎は雪月との性の違いを実感するようになっていきます。彼は雪月に異性として惹かれはじめ、けれどそれと同時にこのままでは雪月の兄としていられなくなると強く思うようになります。その結果、雪月に対してよそよそしくなり、彼は全寮制の男子校に入学しようとします。それを秘密にしていたが、雪月にバレてしまい、、、

追いかけた先、テレビ塔での告白、雪月の想いが伝わってきて心を揺さぶられるシーンでした。挿入歌もあり全編通しても一番いいシーンだったと思います。



・高校生編



無事に仲直りを果たして、同じ高校に進学します。雪月中学生編から背と髪が伸びてスラッとしていて感動しました。

 他のワンルームメンバーも同じ高校集まってきて、料理部を立て直します。雪月ちゃんの死別した父がパティシエだったこともあり、彼女はお菓子作りに本腰を入れ始めます。もともと料理部は廃部が決まっており部員がいなかったので実質ワンルームメンバーのみです。そしてお菓子作りを指導するのが雪月ちゃんになります。料理部に入った後、他のメンバーと試しにお菓子を作ってみたり、瑞羽先輩のお見舞いのために作ったり、文化祭の出し物として作ったりします。
 
 あれこれと料理部で作るのですが、お菓子を作っていることを母親に伝えていません。死別した父に関して母を気遣ったからです。けれどやがて彼女は母親に伝える決意をします。ここら辺雪月ちゃんの成長を実感できて嬉しかったです。あの内気で恥ずかしがりだった雪月ちゃんが、料理部での活動を通して、自信とか勇気を手に入れたのだと思うとほっこりします。こうしてクリスマスの日、母に父が作ってくれたお菓子をご馳走し、料理部でお菓子を作っていたこととパティシエになりたいことを打ち明けました。母は笑って受け入れてくれました。このシーン心が温まるような感じがして嬉しかったです。

ちなみに雪月ちゃんが高校生になるとえちするようになります。高校生編はとくにえちシーンが豊富です。もうヤリまくりでコンドームをきらしてしまうほどです。



・アフター編



二人は社会人になり、雪兎は広告会社、雪月はパティシエ見習いとして働いていました。雪兎は、イタリアンスイーツ特集の企画で評価を上げ、なんとイタリアに出向しないかと打診されます。一方雪月もイタリアに海外研修にいかないかという話を持ち出され、二人は奇妙な偶然により、一緒にイタリアに向かうことになります。こうして二人のローマでの同棲、もとい新婚生活が始まりました。
 雪月の父もまたイタリアで海外研修を受けており、ローマで開かれるパティシエコンテストで優勝しています。そしてインタビューでパティシエのことを魔法使いだと言っていました。お菓子で人を笑顔にする。そんな笑顔の魔法を使えるのがパティシエだと。
 雪月の研修先は、実は雪月の父の研修先でもありました。この父の師匠にあたる人チェーザレさんは、お菓子作りにおいて「ジョイア」つまり「喜び」とか「楽しみ」を大事にする人で、父の「笑顔の魔法」というのはそういうのを継承しているんだなぁと思いました。

 話に戻りますと、雪月はもちろんこのことを知っていたので、海外研修を頑張りながら、コンテストで優勝を目指します。一生懸命、仕事が終わった後もお菓子作りの練習を続けて頑張ります。頑張りすぎてチェーザレさんに休みを出されるほどです。この休日に雛多が遊びに来て、高校時代のように一緒にお菓子作りをします。そして雪月は研修でお菓子作りについて全然楽しんでいないことに気付きます。そして父の「笑顔の魔法」を思い出しました。あるいは「ジョイア」だったのかもしれません。
 そういうわけでお菓子作りの楽しさを学び、万全を期してコンテストに参加しました。しかしハプニングは起きました。隣の参加者が間違えて、雪月のお菓子に必要な部分を冷蔵庫に入れてしまいます。それが冷蔵庫に入れられ、台無しになってしまい、時間のない中、雪月は慌て、ミスが目立ち始めます。
 そこに雪兎が登場し励まします。
「パティシエは、パティシエールは魔法使いなんだ」
「楽しんで作ったお菓子は、食べた人を笑顔にできる、、、それは凄い事だ」
「文字通り魔法だよ。言葉さえ必要ない笑顔の元なんだからさ」
「まずは自分が楽しもう!雪月の笑顔を、みんなに分けてやろうぜ!」
このシーンはほんとかっこよかったです。

その後落ち着きを取り戻した雪月は、発想を変えて見事優勝を果たします。

日本に帰ってきてから、雪兎の会社はイタリアスイーツの老舗に気に入られ、雪月の活躍もあり日本でイタリアスイーツは流行りだし順風満帆に物語は終わりを迎えます。
 最後に二人で開業することになり過去を振り返るシーンで鳥肌が立ちました。雪月ちゃんと過ごした日々が確かにあったのだと思い返してみると泣けそうになりました。色んな楽しかった出来事、小さい頃からの思い出を共有できたことが心地よかったです。他のエロゲでも幼馴染や妹だったり、小さい頃から一緒にいた設定のヒロインはいますが、その細部は語られないままだったり、回想シーンという挿入だったりして、共に過ごしてきたかどうかいまいち実感が沸かなかったりするのですが、雪月ちゃんとは、確かに色んなことを一緒にしたとそう思い出せて、かけがえのないものと思えてくるのです。今回プレイしたのは一人目のヒロインですが、銀はるでは他のヒロインも同じように思えるでしょうか。だとしたらそこが銀はるの一番気に入った点になりそうで今後が楽しみです^^。



考察とまとめ

雪月「でも、きっとみんなが嬉しくなるのは、一番最初に見た初雪だと思うんです」
雪月「雪景色は、綺麗ですけど、それは一番最後に振った雪です」
ぎこちない関係から打ち解けていった中学生編、一緒に学園生活を楽しんだ高校生編、そして一緒に過ごす時間が少なくなったアフター編。大人になって仕事ばかりになって、途中頑張りすぎて先が見えなくなったりもするけれど、それでも過去には色んな楽しい思い出があった。一緒に過ごしてきた仲間に久しぶりに会ったら懐かしくて嬉しかった。楽しさとは今日ここ最近の出来事ではなくて、雪が降り積もるように何回も繰り返し育まれてきたものだった。
そう考えてみると、雪月ちゃんのこのセリフ奥が深いなと思いました(初見で気付かなかったけど)。そして今まで中学生編、高校生編とそれぞれで完結している風に思っていたのですが、全編ちゃんと繋がってることに気付き感動しました。

高校生編でまりあ様以下のようにおっしゃってます。
雪兎「いや…大人って思ってたより楽しそうだなって」
まりあ「当たり前でしょ」
まりあ「私たちがつまらなそうにしていたら、子供たちに夢がないじゃない」
まりあ「大人は子供以上に笑うものなのよ」
このセリフアフター編の雪月にぴったりだと思いませんか?
夢追い人だった雪月はコンテストの日、自分も楽しんで周りの人も笑顔にした。夢を叶える人から夢を与える人へ。魔法使いになるということは案外大人になることに似ているのかもしれません。

色んな嬉しいことがあって、楽しい思い出がたくさん出来て、笑顔の魔法使いになった。そんな彼女はきっとこれから幸せを与えてくれるでしょう。