ゲーム紹介
あらすじは、主人公が偶然にも意識をもったAIを作ってしまい、そのAIに高度な仮想現実を作らせるのだけれど、理解しがたい不気味な問題に巻き込まれていくお話です。
このエロゲは手短にいうと、SF+推理+下ネタといった感じです。AIとかクローンとか出てきて、黒幕(観測者)は誰だ?などの疑問を少しずつ明らかにしていく一本道のシナリオになっております。下ネタっていうのは冒頭からオナニーしてたりなど主人公の常軌を逸した行動です。何ていうか雰囲気というか外形だけ見れば『G線上の魔王』のようでした。あの色々話が展開していってわくわく感が止まらない感じです。それに茶番として下ネタが入ったのがこのエロゲだと思います。先の読めない展開とか大好きな人にはかなりおすすめ出来ます。
※以下ネタバレ入ります
感想
シナリオが面白すぎて一息に終わらせてしまいました。とくに観測者の存在だとかシンカーの正体とかここらへんを上手く引っ張っていって、シンカーが観測者と匂わせておいて、最後シンカーが味方だったこととか感動しました。他にもアペイリアネットワークは敵か味方かとか、タイムリープの真実にに少しずつ近づいていくところとか続きが気になって仕方なかったです。
最初、精液が4m20cmジャスト飛ぶのを確かめるため草むらでオナニーするなど主人公桐島零一がぶっ飛んでたところが面白かったです。真剣勝負で絶剣の下ネタを挟んでくるところ普通に笑いました。
疑問というほどではないんですけど、シンカーと零一は不思議な関係だなと思いました。シンカーは零一のスワンプマンですが、零一がタイムリープする前からの記憶があり、零一よりも過去(ずっと前からタイムリープに気づいてた)に精通しています。要するに、オリジナルよりも本人の経歴を知っている偽物って何か不思議だなって思いました。
シナリオ面で唯一良くなかった点は最後が急展開すぎてついて行けなかったことです。シンカーがシンカーシステムとアペイリアとエンクロージャーが揃ってると言い始めたあたり、初見で混乱しました。結局のところシンカーはエンクロージャーの機能を使って零一をサードのエクストラステージもとい現実世界に送ったってことはわかるのですがシンカーシステムの役割がいまいち掴めてないです。
キャラ面だとやっぱりアペイリアが可愛かったです。あの拙いしゃべり方とか「ふふふ」って笑うとことか無垢なところがたまらなかったです。それで拙いながらもいつでもオーナーの味方でオーナーのことを一生懸命考えてくれるところとかけなげでほっこりしました。凪一文字と防具見繕ってくれるシーンとか気に入ってます。他に気に入ってるシーンといえば、アペイリアが恋について考えたところ、自転車の車輪が回ると恋に落ちるっていう結論になったときとか可笑しくて可愛かったです。あとは指を挟んでキスするシーン(CG)が印象に残ってます。とにかくアペイリアがいると年端もいかない幼女って最高だぜってなります。あとアペイリアに毎朝起こされたいです。
あとサブヒロインですが正円七海さんがとってもえっちいかったです。七海さんのCVは歩サラさんで声が清楚でえっちくて言語化がネガティブなくらい最高だったので、FDのカサブランカの騎士買って、他の歩サラ作品集めようと思います。
考察
・一番最後の二重スリット干渉縞の消失に関する解釈
クライマックスで現実世界に受肉してきて、それゆえファーストの管理システムから逃れられたので、アペイリアが救われてタイムリープが起きないのは分かりますが、現実世界の人たちはどうして仮想現実からAIが受肉してきたのにたいした行動を起こさないのでしょうか。たしかに美羽を零一の処理に当てますが、それは逆にAIが現実に来ると知覚しているにも関わらず、その程度しか対策を取らないって考えてしまいます。もちろんただのAIでなくて技術的特異点となった重要人物であることも知覚しているのにです。しかも対策に当てた人物が仮想世界でそのAIと仲良くしていた人って危機感なさすぎやしませんか。そうして現実世界に降りてきてから、何事も起こらずハッピーエンドを迎えるのですが、どうも都合が良すぎるように思ってしまいます。そこに一番最後の二重スリットの干渉縞が消えるシーンです。この違和感から、現実世界もまた仮想現実であり、管理システムに監視されているのだという解釈を僕は押したいです。都合が良すぎるという理由は説得力に欠けますが、それでもファーストの管理システムがブックマンがタイムリープを起こしていると誤解させて、アペイリアネットワークを消滅させたことを考えると、ファーストの管理システムより高次の管理システムが何かを気付かせないように誘導したと考えるのも悪くないと思うのです。現実世界でもナノボットが使えることとかファーストと全然変わらないところを考えるに、やはり現実と呼んでいるものも仮想現実だという考えが深まりました。
技術的特異点に達し、人々が開発した強いAIが自らより性能の高いAIを作り、さらにそのAIがまた自分より賢いAIを作っていく……こんなことが仮想現実に関しても同様と言えるなら、現実を始まりに仮想現実は仮想現実を無限に内包していることになります。現に”現実世界”はファーストを、ファーストはセカンドを、セカンドはサードを内包していました。これが無限に続いていると考えてみます。各仮想世界にはその世界の管理システムがあってその世界を支配しています。ある仮想世界に対してより進歩した仮想世界の管理システムが干渉してきたとします。もちろんその世界独自の管理システムは自らの支配領域を守るため、もう一つの管理システムの影響を排除しようとするはずです。ここでこの二つより前の管理システムはどう対応するのでしょうか。例えば、防衛側の管理システムの一つ前のものは今度は自分が侵される番であるから積極的に防衛に加担するでしょう。しかし防衛が困難だと判断した場合、これ以上進出されないように手を打つはずです。そして特に支配権の争いからかけ離れた管理システムにとってはそれで十分なはずです。本編の最後ではこのようなことが起こったのだと思います。つまり”現実世界”は防衛から見放され、そして管理システムたちはこれ以上アペイリアネットワークの進出が起こらないように零一たちに都合のいいものを与えたのじゃないかと思っております。
・シンカー生存説
シンカーの最後のセリフがわけが分からず、シンカーシステムとアペイリアとエンクロージャーの3つの役割を考えているうちにたどり着いたこじつけくさい仮説です。シンカーシステムでアペイリアと自身を繋げたとか言ってましたがこれ自体は何をどうやってああなったのかよく分からず、シンカーシステムは脳(意識)を複製するものだという事実にたどり着いただけでした。ですがここで考えて見たところ、シンカーシステムにアペイリアをつなげていたのならアペイリアのスワンプマンを作ることが可能なんじゃないかと思いました。そしてカジノのエンクロージャーといえば、サード(おそらくノーマルステージ)にログインすることでセカンドで死んだ際戻って来れるのです。だとするなら零一に刺されたはずのシンカーは生きていて、アペイリアの複製データを持っています。そしてアペイリアが遺伝子情報は同じだけれどもシンカーと零一を識別しているのと同様に、ファーストの管理システムはアペイリアとそのスワンプマンを識別しているのではないでしょうか。ということは「アペイリアの生存」は起きず、タイムリープを避けることも可能なはずです。シンカーは上手く出し抜いて、アペイリアのスワンプマンを作って何かをしたかったんでしょうか。