太陽の棘(とげ) | |
原田マハ | |
文藝春秋 |
第二次大戦直後の沖縄にエド・ウィルソンは精神科の軍医として派遣された。
休みを利用して仲間とのドライブ、そこで不思議な場所にたどり着く。
沖縄の画家たちが自立を目指して集まって作った「ニシムイ美術村」
そこのリーダーでもあったセイキチ・タイラとの出会い。
実際にあった若き軍医と沖縄の画家たちとの深い心の交流がベースとなり、
(物語の実在のモデル、軍医、スタンレー・スタインバーグと画家、玉那覇庄吉)
当時の沖縄の状況が織り込まれながら物語は進行する。
肖像画に込められた画家の想いが60年の時を超えて今も訴えかけてくる。
奥山清行氏は私の注目する人物の一人。武蔵野美術大学出身。工業デザインの分野で活躍する世界的デザイナー。見せかけのグローバルではない、本物のグローバルな人物と言える。
「問題点を目の前にして、何が根っこにあるのかを探り当て、どういう対応をすれば解決できるのかを示すこと。そのために必要なのが、本物のクリエイティブ力なのだ・・・(奥山)
どんな力をつけなければならないのか・・・教育の可能性は・・・生き方は・・・多くを考えさせてくれる本である。
100年の価値をデザインする: 「本物のクリエイティブ力」をどう磨くか (PHPビジネス新書) | |
奥山清行 | |
PHP研究所 |
2007年9月ブログ「美と知」より・・・
1959年山形市生まれ。武蔵野美術大学卒業。就職せずにそのままアメリカにわたってから氏の紆余曲折は始まります。
GM、ポルシェ、そしてピニンファリーナでチーフデザイナー、デザインディレクターを歴任し、2002年のエンツォ・フェラーリ(フェラーリ創業55周年記念モデル)のデザインを手がけたことで世界のトップデザイナーとして世界的に高く評価されます。
日本の製品は品質もよく、クリエイティブな仕事をする人もたくさんいるのに、イタリアン・デザインのほうが優れているのは、製品にいたるまで一貫して一人のデザイナーの特徴が現われているからだと、逆に、日本のデザインは商品化されるまでに出る杭はどんどん削られて平均化してしまうような意思決定のシステム(誰も責任を取らなくていいシステム・・・)になっていると指摘されます。
多くの失敗や挫折の中で、もの作りの原点をしっかりと見据えた奥山氏の見識がいたるところにちりばめられており、作家として、チームとして、国としてクリエイティブであり続けるためには何が大切なのだろう・・・と考えさせらます。
フェラーリと鉄瓶 (PHP文庫) | |
奥山清行 | |
PHP研究所 |
伝統の逆襲―日本の技が世界ブランドになる日 | |
奥山清行 | |
祥伝社 |
フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書) | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
ドラクロアの“民衆を導く自由の女神”
は美術史の中でも近代の幕開けを宣言する記念碑的作品です。
この作品を観ていると、自由と平等を夢見て戦った市民の熱が伝わってくるような感じがします。
フランス人が最も大切にしている絵画であるということもうなづけます。
そして、作品に描かれている当時のフランス革命の状況が知りたくなります。
いろいろとフランス革命について読んでみましたが、素晴らしい本に出会ったのでここに紹介しておきます。
フランス革命の内実、うねりが具体的に見えてくる感じがしました。
無趣味のすすめ 拡大決定版 (幻冬舎文庫) | |
クリエーター情報なし | |
幻冬舎 |
本文より
私は趣味を持っていない。小説はもちろん、映画製作も、キューバ音楽のプロデュースも、メールマガジンの編集発行も、金銭のやりとりや契約や批判が発生する「仕事」だ。息抜きとしては、犬と散歩したり、スポーツジムで泳いだり、海外のリゾートのプールサイドで読書したりスパで疲れを取ったりするが、とても趣味とはいえない。
現在まわりに溢れている「趣味」は、必ず属す共同体の内部にあり、洗練されていて、極めて完全なものだ。考え方や生き方をリアルに考え直し、ときには変えてしまうというようなものではない。だから趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。
つまり、それらはわたしたちの「仕事」の中にしかない。(村上龍)
今の社会にある様々な問題に対して、一つのテーマを3ページほどで論じていく。
選び抜かれた少ない言葉に込められた考察は鋭い。
私たちは日々社会のことをもっと考えなくてはいけないと感じる。
自分たちが暮らす日本という国のあり方を…
私たち一人一人の生活のあり方を…