連載「ちびジプちゃん」第７回

蒸し暑い。
うっとうしい、日本の夏の夜には、
ホラー映画と肝試しは必需品である。


今では、ホラー、オカルト、なんでも来いの
ジプシーであるが（その割には　すごい驚き様らしい）、
昔は、何より「水曜スペシャル」が怖かったというから
驚きである。


「水曜スペシャル」というと
何かの特番と思う方もいると思うが、
れっきとした、レギュラー番組である


川口隊長、率いるメンバー（川口探検隊）が、
毎回、世界の謎や脅威に挑む！！という
すごいロケや冒険の様を
毎週、水曜日の夜７時から放送していたものなのだ


ジプちゃんの小学生前半は、
水曜スペシャルを観ていないと
話題についてけないほど、
ブームだったのである


ジプちゃんも　怖いけど、
一大決心をして　その頃はまだ若かった、
母と妹を従え、
小１のある暑い夏の夜、
「水曜スペシャル」を観ようと
テレビをつけたのだった


運の悪いことに　その日は
「宇宙人と謎の飛行物体特集」であった


だんだんインチキくさくなっていった、
水曜スペシャルも、
その頃は、とてもホンモノっぽくて
怖かったのだ


初めは　平然として観ていたジプちゃんと妹だったが、
気が付いたら
母上の両腕に　ダッコちゃん人形のように
しがみついていたのだった


いつもは６時３０分には帰ってくる
父　マサオが、この日ばかりは
いつまでも帰ってこない


内容はどんどんエスカレートし、
宇宙人がアメリカの牧場に現れ、
牛の内臓だけ、抜き取っていくという
小１のジプちゃんにとっては
とても過激な内容になってきた


半泣きになったジプちゃんは、
「ねえ！お母さん　消して！！」
「じゃあ　消すから離れて」

・・・・！！！！！
「それはいやだよおおおおお！！！」


妹もジプちゃんもテレビの画面に
近づきたくなかった上に
お母さんからも離れたく
なかった悪循環で、
とうとう　最後まで観てしまった（笑）


・・・何というバカな親子であろう


そんなことしてても　妹は布団に入るなり、
グーグー寝てしまい、
ジプちゃんは、寝てしまったら
内臓を抜き取られそうな気がして
とうとう眠れなかった


まだ、ジプちゃん、
この頃は繊細だったらしい（笑）


目が疲れ、　血走ってきた夜１１時。
薄情な父、マサオが、
パチンコでもらったらしい、
今では　あまり見かけなくなった
「ナッツボン」を持って、帰ってきたのだった




ナッツボンくらいの勝ちで、
娘と妻を恐怖に陥れた父、マサオの罪は重い（笑）


あの頃、
リモコンがあったならなあと
しきりに思う、
現在のジプシーであった（笑）