「プロレタリア文学」を代表する作家の短編小説、エッセイ集として、読んでおいて損はない。
いつの時代でも、「ろくでなし」はいたこと、そしてそいつらに必死に抵抗した人たちがいたことを、再確認できるだろう。
小林が、特高警察に逮捕され殺害された直前に発表された「地区の人々」、これにひときわ魂をわしゃわしゃされた。
目次
「失業貨車」
「残されるもの」
「オルグ」
「飴玉闘争」
「宗教の『急所』は何処にあるか」
「地区の人々」
「小説作法」
「山本巡査」
「疵」
日本中で『蟹工船』が読まれているという光景を、いったい何人の人が予想しただろうか。小林多喜二の描いた世界なんて、すでに遠い昔話だと、誰もが思っていた。が、現代日本の若い人たちは、リアルを感じながら読んでいるのだという。本書では、なかなか一般の目にふれることのない小説・評論・戯曲を集めた。『蟹工船』ではじめて多喜二と出会った人は、ぜひ他の作品にも目を向けてほしい。どれも濃厚な味と匂いのある作品ばかりである。登場人物たちが、歪みきった社会との闘いに人生を燃焼させる姿は感動的だ。そして、この作品が昔話ではなくなってきた日本の行く末に、不安をおぼえる。
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