熊沢誠の『過労死・過労自殺の現代史』は読破するには辛いという人には、この新書が良いかもしれない。
「働き方改革」の名のもと、一連の労働法の改正が行われたが、「過労」を防止するための規制はザルもいいところで、年収による制限および労働者本人の合意が必要なものの、「高度プロフェッショナル制度」による「残業手当ゼロ」の労働も合法となった。
勤労者の過労を防ぐためには、経営と迎合することになりがちな労働組合の強化、改善と、なにより働く者一人一人が、自らを守り、仲間を守る権利意識の向上が必要だ。
目次
第1章 「残業代ゼロ制度」の舞台裏
「残業代ゼロ制度」創設へ
成果に応じて賃金を払う制度? ほか
第2章 労働規制緩和を疑う
誰が望んでいるのか
一筋縄ではない人事評価 ほか
第3章 はびこる長時間労働
残業は例外、だが…
残業の上限、大手の七割が「過労死ライン」 ほか
第4章 すさんだ職場
トヨタのエンジニアの過労死
「韓国と年間一千時間違う」 ほか
第5章 誰も守ってくれない
ワタミ新入社員の過労自殺
過労の裏に違法は残業手続き ほか
第6章 長時間労働からの脱却
過労死防止法が成立
命より大事な仕事って ほか
「世界で一番、企業が活動しやすい国にする」。このスローガンをかかげ、安倍晋三首相は労働基準法の改正案を国会に提出した。社員がいくら働こうが、会社は残業代を支払わなくてもいい「残業代ゼロ制度」法案だ。近年、規制緩和が進んだ結果、非正規雇用が拡大し、過労死やメンタル不調、パワハラなど職場環境が劣化し、長時間労働や違法な働かせ方が横行している。にもかかわらず、さらなる規制緩和は本当に必要なのか?長期間にわたる緻密な取材をもとに、「働きすぎの日本人」の実相を検証し、規制緩和の暗部をリポートする。
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