「ニッセイ基礎研究所」が行った大規模調査の結果にもとづき、なにが男性の育児休業取得を阻んでいるのか、検証する。
最近になって、男性の育児休業取得率が1割を超えた(「令和2年度雇用均等基本調査」)ものの、あいかわらず、女性が、賃労働に加えて、家事労働や育児労働を一身に担わなければならない状況は改善されていないし、自らの余暇など諦めざるをえない未来しか見えないなか、多くの女性が子どもをもつことを諦めざるをえなくなり、とめどなき超少子化が進んでいる。
ワーク・ライフ・バランスどころかワーク・ファミリー・バランスさえ実現されていないなか、ケア労働を経済の外部に捨ておくのではなく、経済の内部へ包摂する必要があること、男性の長時間労働を規制すべく労働基準法を改正強化する必要があることなどを痛感した。
多くの企業では男性社員が子育てに携わることを想定してこなかった。しかし、結婚・出産後も仕事を継続する女性が増えた現在、男性も子育てに関わりたいと希望し、従来型の雇用や処遇の仕組みは新たなストレスを生む要因ともなっている。本書は、少子化対策としてのみ論じられがちな男性の育児休業を、社員が勤労意欲を高水準で維持し、能力を最大限に発揮するための選択肢の一つとして捉え、取得促進への具体案を提示する。
目次
第1章 なぜ男性は育児休業をとらないのか
取得者はきわめて少数
「育児休業法」の成立まで ほか
第2章 企業にとって子育て支援はマイナスか
企業経営と人事管理
「仕事最優先」から「仕事と生活の両立」へ ほか
第3章 男性の子育て参加モデル
求められる父親役割の変化
なぜ育児休業を取得したのか ほか
第4章 海外にみる男性の子育て支援策
EUにおける取組み
イギリスの父親の休暇促進のための取組み ほか
第5章 企業がとるべきアクションとは何か
人事管理の視点からみた子育て支援策
男性の育児休業をどうイメージするか ほか
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