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本と音楽とねこと

ブラックボランティア

本間龍,2018,ブラックボランティア,KADOKAWA.(7.9.2021)

 本書は、米国のテレビ局三大ネットワークの利権のために、蒸し暑い真夏の東京でオリンピックを開催する愚に加えて、オリンピック貴族や電通の利益中抜きのために、無償のボランティアが大量に動員される理不尽を批判する。
 オリンピック開催に、公共投資や国威発揚以外の効用はないわけだから、経済の沈滞、超少子化、超高齢化がすすむ日本で開催する意味などまったくない。まったくもって、税金の無駄遣いである。
 と思っていたら、コロナ禍で、一年延期されたうえに、無観客で開催されることになった。無観客とはいえ、選手や関係者の入国により、変異株がさらに広がることは必至だろう。
 馬鹿にもほどがある、というほかない。

目次
はじめに 酷暑下で展開される未曾有の「やりがい搾取」
第1章 10万人以上のボランティアをタダで使役
無償ボランティアの根拠は何か
なりふり構わぬ学徒動員計画
驚愕の「中高生枠」
薬剤師も無償で調達で大騒ぎに
高齢者は募集対象外?
半世紀以上前に否定されていた夏季開催
19年ラグビーWCまでも無償ボランティアで
長野五輪のボランティア
第2章 史上空前の商業イベント
商業化は84年のロサンゼルス五輪から
IOCと五輪貴族を支えるスポンサーシステム
一業種1社の原則を捨てた東京五輪
組織委の不明朗な体質
パブリックビューイングを開けない「スポンサーファースト」
第3章 ボランティアの定義と相容れない東京五輪
そもそも「タダ」という意味ではない
五輪運営費の内訳に対する疑念
巨額のスポンサー料をなぜ開示しないのか
第4章 東京五輪、搾取の構造
無償ボランティアがオリンピック貴族に貢ぐ構図
「やりがいPR」で再び炎上
無償ボランティアになるためにカネを払う?
さまざまな有償ボランティア
第5章 なぜやりがい搾取が報道されないのか
「全国紙全紙が五輪スポンサー」の異常
組織委の「核心的利益」を追及しないメディア
メディアの東京五輪報道は原発プロパガンダと同根である
電通を批判できないメディア
第6章 問題を伝え続けること
5万人がリツイートした無償ボランティア批判
大学で講義をしてみると
終章 21世紀の「インパール作戦」
東京五輪とインパール作戦の相似性
外国人観光客の熱中症で病院はパニックに
組織委はボランティア全員を有償とせよ
おわりに

スポンサー収入4000億円と推定されるスポーツ興業、東京オリンピック。この大イベントの運営を、組織委員会は11万人もの無償ボランティアでまかなおうとしている。応募にはさまざまな条件があり、10日以上できる人で、事前研修の参加も必須、宿泊費などの経費も自己負担だ。「一生に一度の舞台」など、美名のもとに隠された驚きの構造を明らかにする。

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