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高齢者虐待、息子が37%…被害の8割女性

 息子が虐待加害者となった37%の事例のうち、どれくらいが「パラサイト型虐待」なのかはわからないが、これまでいくつかの保健所が把握してきた傾向が裏付けられたかたちだ。家父長制文化が残存するなかで介護役割を押しつけられた「嫁」が負担に耐えかねて虐待してしまうというパターンより、自立できなかった息子が要介護の親の世話に手を焼いて虐待してしまうというパターンが優勢になってきているということなのだろう。

高齢者虐待、息子が37%…被害の8割女性
 高齢者に対する虐待が2006年度、家庭内で約1万2600件、施設内で約50件あったことが21日、厚生労働省が高齢者虐待防止法施行後、初めて行った全国調査で分かった。
 家庭内における虐待者の半数以上が息子や夫ら男性だった。市町村の9割以上に対応窓口が設置されたが、早期発見・見守りの体制づくりに取り組む市町村は4割弱にとどまるなど、自治体の課題も浮き彫りになった。
 調査は虐待防止法に基づき、全国の1829市町村と47都道府県に、虐待件数や対応状況などを聞いた。
 市町村が06年度に受け付けた家庭内の虐待に関する相談や通報は1万8393件。通報者の41%がケアマネジャーなど介護関係者だったが、虐待を受けた高齢者本人からの通報も12%あった。このうち、市町村が虐待と判断した事例は1万2575件に上った。
 虐待者の続き柄は息子(37%)が最も多く、次いで夫(14%)、娘(14%)の順。国民生活基礎調査(2004年)によると、家庭内の主な介護の担い手は75%が女性であるにもかかわらず、男性による虐待の割合が高い実態が明らかになった。
 虐待の種類で最も多いのは、暴行を加えるなどの「身体的虐待」(64%)。暴言を吐くなどの「心理的虐待」(36%)、「介護放棄(ネグレクト)」(29%)、財産を奪うなどの「経済的虐待」(27%)が続いた。
 一方、虐待を受けた高齢者は女性が77%を占めており、84%が同居している人から虐待を受けていた。
 特別養護老人ホームなど施設内の虐待件数は53件。約8割が介護職員による虐待だが、「施設長」や「開設者」などによる虐待も約1割あった。
 虐待の通報を受けた市町村の対応では、介護施設に入所させるなどして、虐待を受けた高齢者を虐待者から分離した例が36%あった。また、91%の市町村が対応窓口を設置していたが、「警察との連携のための協議」(32%)、「早期発見のための見守りネットワークの構築」(38%)など、関係者との連携が遅れている実態も明らかになった。
(2007年9月21日22時5分 読売新聞)

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