見出し画像

本と音楽とねこと

宮本常一の写真に読む失われた昭和

佐野眞一,2013,宮本常一の写真に読む失われた昭和,平凡社.(1.11.24)

 名著、『忘れられた日本人』で知られる民俗学の巨人、宮本常一。
 本書では、その宮本が、1950~70年代に撮影した数多くの写真が、解説付きで紹介されている。佐野眞一は、畢竟、「失われた昭和」をひたすら懐古しているが、表紙の、子どもたちが見せる、着ているものはみすぼらしいけれども、生き生きとして屈託のない笑顔の写真を見ると、さもありなんと思う。
 しかし、あの時代にもどることを望む者はいないだろう。住居環境、情報環境、食生活等、「失われた」もの以上に得られたものは大きい。
 ともあれ、本書に収録された写真の価値もまた限りなく大きい。

際限なきフィールドワークをつづけながら、メモ感覚でありとあらゆる事物にカメラを向けた宮本常一。村里の暮らし、島と海に見た貧しさと豊かさ、街角で聞こえた庶民の息づかい…。彼が残した十万点の写真から、百九十点余を厳選。高度成長期前後の日本の社会と民俗を知るための格好の書。

目次
第1章 村里の暮らしを追って
景観にめぐらせた無限の夢
鳥の目で地形を、虫の目で暮らしを ほか
第2章 島と海に見た貧しさと豊かさ
海とともに暮らせた時代
過疎化前の島のたくましさ ほか
第3章 街角で聞こえた庶民の息づかい
師・渋沢ゆずりの細部へのこだわり
宮本の写真術とその思想 ほか
第4章 ジャーナリストの視点
学生運動と百姓一揆―六〇年安保
大規模災害の現場―新潟地震 ほか

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「本」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事