訓覇法子,2002,アプローチとしての福祉社会システム論,法律文化社.(11.27.24)
福祉生産・供給システムを考察するための新たな概念を提示。ヨーロッパ諸国と日本との対比を軸に、福祉社会システムの歴史的発展と現状を体系的に展開する。
やや難解なところもあるが、訓覇さんの専門であるスウェーデンの社会保障、社会福祉施策についての記述が実に細かい。
社会福祉における選別主義と普遍主義の軸は、現在もそう変わっていない。
日本、米国、イギリスは選別主義のままであるし、スウェーデンやデンマークは普遍主義のままだ。
その国の福祉の水準は、民主主義のレベル──政治的エリートへの接近可能性、労働組合による勤労者の包摂度、個人の家族からの自立度、これらによって決定されるものであるのだろう。
目次
アプローチとしての福祉社会システム論
第1部 社会政策の展開
社会政策とは何か
社会政策と福祉
第2部 福祉国家論
福祉国家とは何か
理念と基本的価値 ほか
第3部 福祉多元主義の理論と現実
福祉多元主義とは何か
非営利・協同セクター ほか
第4部 介護の社会化
高齢者と社会保障
介護の社会化 ほか