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男女雇用機会均等法が施行された1986年は、労働者派遣法が施行(戦後初めての中抜き雇用の再開)され、第3号被保険者制度が成立した年でもある。そして、「女性活躍推進法」が成立した2015年には、労働者派遣法が改正され、事業所は期限の定めなく派遣労働者を受け入れることができるようになった。
女性に家事労働役割を担わせたまま、さらに低賃金の労働に就け、子どもも産め、でも事実婚はダメ、ちゃんと婚姻届けを出せ、これが、自民党支持のくそじじいどもの本音である。上記の法令は、こんな都合の良い家父長制的価値観まる出しの露骨な性差別によるものである。最低時給は先進産業国最低のまま、派遣労働を全面的に容認、増え続けるワーキングプアの女性は、このろくでもないくそじじいどもにからだをカネで買われる。最低、最悪だ。
正規と非正規、既婚と未婚、子どもありと子どもなし、長時間の過労働と短時間の低賃金労働等々、いまだ性差別の構造に抑圧されたままの女性たちは、分断され、なにが自らを苦しめているのか、生きづらくさせているのか、正しく理解することもできず、ときに「底辺への競争」を強いられ、鬱病を発症し、売春、自傷行為にいたる。
貧困当事者への取材にもとづき紹介される事例と、問題の根源にあるのがなんなのか、見極めようとする深い考察とのバランスが良い。新型コロナウィルス禍により、ますます女性に対する搾取がすすんでいるいま、とくに若い人たちにぜひ読んでおいてもらいたい一冊だ。
目次
序章 女性の貧困とは?
1章 家族という危ういセーフティネット
2章 家事手伝いに潜む闇
3章 正社員でも厳しい
4章 非正規という負の連鎖
5章 結婚・出産プレッシャー
6章 女性の分断
終章 一筋の光を求めて
就職氷河期以降の若年層が抱える困難、いまだに根強い日本の男女差別。その両方を抱えながら、働くことも、結婚して子どもを産み育てることも期待されているのが、いまのアラフォー/非正規/シングルの女性たち。「一億総活躍社会」の掛け声の陰で、困難を抱えてひっそりと生き抜こうともがく女性たちの等身大の姿に迫る。
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