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本と音楽とねこと

潜入ルポamazon帝国

横田増生,2019,潜入ルポamazon帝国,小学館.(5.28.2020)

 わたしは、できるだけアマゾンを利用しないようにしている。理由は、世界最悪レベルのブラック企業だからだ。それでも、「ニュートロのキャットフード」と「ここさちのにんじん&りんごジュース」は、アマゾンから買っている。(書籍は、もっぱら「丸善ジュンク堂書店外商部」に注文リストを送付して購入している。)ずいぶんむかしに、音楽データをすべてグーグルのクラウドにアップロードした際、大量の音楽CDをアマゾンの「マーケットプレイス」で売却したことはある。
 最近、買い物自体をあまりしなくなった(いま着ているのは30年以上前に買ったモジリアーニのポロシャツだ)が、キャットフードにしろ、ジュースにしろ、アマゾンで買い物する際は、絶対に「翌日配達」の「プライム会員特典」は利用しないことにしている。宅配の労働は、ただでさえ過酷なものであるのに、それをさらにひどくするような振る舞いは、消費者として許されるものではない。
 さて、本書では、アマゾンのどこがどうブラックなのか、徹底解剖されている。非人間的なあまりに非人間的な、テイラー主義もトヨティズムも真っ青の課業管理がなされた、巨大倉庫でのピッキング低賃金労働。これは、「自動車絶望工場」どころではない。労働者をモノのように扱い、労働組合を病的なくらいに敵視するジェフ・ベゾスは、サイコパス、ソシオパスである。2014年、国際労働組合総連合(ITUC)は、ベゾスを「世界最悪の経営者」に選んだ。(p.135)
 「マーケットプレイス」への出品で生計を立てている個人事業主や出版社、著作権者への、アマゾンのあまりにひどい仕打ちは、もっと広く知られるべきだ。狡猾な租税回避の手口についても。アマゾンの倉庫で倒れた労働者は、救急車で病院に搬送され治療される。アマゾンで購入された物品は、道路を走るトラックで宅配される。医療や道路は、公共財である。それを、タダ同然で使い、納税義務を果たさないなんざ、サイテーである。
 本書が広く読まれ、アマゾンの暴利が少しでも減ることを望んでいる。この書誌情報自体もアマゾンのサイトから引用しているし、まったく利用しないわけにはいかないだろうが、その度合いを減らすことは、わたしたちに課せられた当然の責務だと思う。

目次
第1章 15年ぶり2度目の巨大倉庫潜入
第2章 アマゾンではたらく社員の告発
第3章 宅配ドライバーは二度ベルを鳴らす
第4章 ヨーロッパを徘徊するアマゾンという妖怪
第5章 ジェフ・ベゾス あまりにも果てなき野望
第6章 わが憎しみのマーケットプレイス
第7章 フェイクレビューは止まらない
第8章 AWSはAIアナウンサーの夢を見るか
第9章 ベゾスの完全租税回避マニュアル
第10章 “デス・バイ・アマゾン”の第一犠牲者

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