劉慈欣(大森望・立原透耶・上原かおり・泊功訳),2020,三体Ⅱ 黒暗森林 上・下,早川書房.(8.5.2020)
超弩級の中国SF小説三部作の第二部、待望の邦訳だ。
本第二部の主人公は、なんと、中国の社会学者。さらに、もとは、天文学者という設定は、小学生のときまで天文学者になるのが夢で、現在は社会学でメシ食ってるわたしには、できすぎの設定だ。
物理学、天文学、電子工学等々の専門知識に裏打ちされた、おおいにありえそうな、それでいて、冷静に考えたら、起こりえないな、という、SF小説に求められる水準は、楽にクリアしている。それに加えて、読むのをやめることができないほど、読む者を欺くミステリアス、スリリングな展開は、現代小説のトップクラスをいくものだろう。
コロナ禍で無理な話になったが、予算を惜しまず、映画化されたら、小説以上にヒットすることはまちがいない。文章を追う先々に、映像が次から次に思い浮かんだ。
人類に絶望した天体物理学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り出す。太陽系到達は四百数十年後。人類よりはるかに進んだ技術力を持つ三体艦隊との対決という未曾有の危機に直面した人類は、国連惑星防衛理事会(PDC)を設立し、防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた極微スーパーコンピュータ・智子(ソフォン)に監視されていた! このままでは三体艦隊との“終末決戦"に敗北することは必定。絶望的な状況を打開するため、前代未聞の「面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)」が発動。人類の命運は、四人の面壁者に託される。そして、葉文潔から“宇宙社会学の公理"を託された羅輯(ルオ・ジー)の決断とは? 中国で三部作合計2100万部を突破。日本でも第一部だけで13万部を売り上げた超話題作〈三体〉の第二部、ついに刊行!
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