『負け犬の遠吠え』や『儒教と負け犬』にあった毒気が希薄になっているのは残念であるが、国会議員や企業や学校の役職者を見れば一目瞭然、OECD諸国中、ジェンダー間不平等が最大であるこの国で、「草食化」する若年男子にほのかな希望を感じつつも、酒井さん、「男尊女卑」を疎みながら「男尊女子」のうまみをふっ切れない自分への、自嘲だか、批判だか、なかなか複雑な心情を、縷々、述べている。
見事に専業主婦の座を射止めた人は、ですからあえての男尊女子プレイを楽しんでいるように見えるのです。夫を「主人」と呼ぶのは、「私は専業主婦なのよ」というかちどきの声。夫より三歩下がるのもプレイの一環ですし、夫を立てて自由に操縦する快感を知れば、男女平等などなんぼのもの、と思えてくることでしょう。
(p.203)
いやいやいや、そういう女は、自分が「男尊女子プレイ」を演じていると自覚するほど賢くないっしょ。パワハラ体質の勘違い男は論外としても、卑屈な「男尊女子」を演じてマウントとってくるイヤな女から自衛するためにも、酒井さん流のシニカルな観察批評は有用だな、と思う。
夫、旦那、パパ。結婚相手をどう呼ぶかが、女性の深層心理を炙り出す。(「主人」)21世紀になっても、こと性の場面では女性の意思の表明が歓迎されないのは、日本男児の繊細すぎる性欲のせい!?(「性」)学歴・年収・年齢・身長が男性より上だと、なぜ女性は負い目に感じるのか。(「高低」)“男尊女卑”が今なお続く理由は、女性の側にもあることを示す20章。「男尊女子」は、あなたの中にも存在する…?
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