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本と音楽とねこと

都市への権利

Lefebvre,Henri(森本和夫訳),2011,『都市への権利』筑摩書房('17.9.4)

 フランス「五月革命」の直前、学生運動が紛糾するなかで書かれた本書は、マルクス主義の視点から編まれた数少ない都市論である。
 資本の都市集中より、使用価値に根ざした都市の復権を。いまになってはよく知られた視点だが、当時としては新鮮だったのだろう。
 ジャン・ボードリヤールが、アンリ・ルフェーベルの門下生であったことを、本書ではじめて知ったが、ルフェーベルがボードリヤールのシニシズムに批判的であったとは、なるほど思想的には当然のこととはいえ、興味深かった。

目次
工業化と都市化 はじめの概観
哲学と都市
細分化された科学と都市現実
都市の哲学と都市計画的イデオロギー
都市の特殊性 都市と作品
連続と非連続
現実と分析との諸水準
都市と田舎
危機的な点の周辺において
都市的形式について
スペクトル分析
都市への権利
展望か前望か
哲学の実現
都市、都市的なるもの、および都市計画についてのテーゼ

都市は投資家や技術者のためにあるのではない、われわれ“利用者”のためにあるのだ!―都市への人口・資本集中が加速する産業化社会。それに抗する運動のうねりの中にあって、著者ルフェーヴルは、消費社会に従属させられてきた現代人の日常生活を批判する。そして、人間の主体性を取り戻すことを訴え、遊びやアートへの参加を通して“作品”としての都市を創ることを提唱した。コミュニティの意義がふたたび問われる今日、批評理論の分野からも再評価が進むラディカルな“都市革命”宣言書の文庫化。

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