多少、乱暴な筆致が散見されるが、大意については賛同する。
外国人研修および技能実習生として、あるいは留学生として、日本で就労する者が激増している。日本社会では、少子化による生産年齢人口の減少により深刻な労働力不足が起こっており、日本政府も外国人労働力を移民として受け入れる積極的な手立てを講じている。
しかし、日本より先駆けて、積極的に移民を受け入れてきた欧米でなにが起こっているか、その惨状は本書でも指摘されているとおりであり、このままでは、「国民の安全」と「国民の自由」のどちらかを放棄し、勤労者賃金のダンピング競争に歯止めがかからないことになるだろう。「国民の安全」もしくは「国民の自由」の放棄と「底辺への競争」、そして移民への膨大な社会保障コストを容認できるほど、日本国民は、外国人に対して寛容であれるだろうか。わたしはそうは思わない。
移民受け入れの論理は、一見、人道的なそれとして捉えられがちだが、実はそうではない。卑近な例では、高齢者のケアワークに従事する外国人が増えれば、そのワーカーの出身国での介護従事者が不足してしまう。あるいは、共働き夫婦の世帯で家事労働を行う外国人メイドの受け入れは、シンガポールやサウジアラビアにみられるような、外国人女性への差別的処遇につながることになるだろう。
跋扈するグローバリズムに歯止めをかけること、こと移民については待ったなしの状況にあることを、本書は明確にしている。
目次
プロローグ 国境を取り戻す動きが、世界中で加速している
第1章 日本国民の安全・自由を奪い取る移民受け入れ
第2章 移民政策が日本の安全保障を破壊する
第3章 砂上の楼閣で終わる移民大国JAPAN
第4章 世界中で壁にぶつかるグローバリズムという病
第5章 日本を破滅に導くウソだらけの経済理論
第6章 日本国がめざすべき絶対的に正しい、たった一つの道
著者が2014年に『移民亡国論』を発表して以来、世界では移民問題が大噴出、英国のEU離脱やトランプ大統領の誕生を招くなど、その警告はことごとく的中した。だが、移民政策の危険性に極めて鈍感な国がある。それが日本だ。すでに日本はドイツ、米国、英国、韓国に次ぐ世界第5位の移民受け入れ大国となっている。これから日本に起こる経済、社会、外交、民族的な大混乱を予測し、いかに対処すべきかを問う。
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