毒親、DV、子ども虐待、AC、依存症、摂食障がい、発達障がい、貧困、服役、トランスジェンダー等、女性の生きづらさの極点にある問題群が、ときには、当事者自身の言葉として、淡々と解説されている。
これは自分だけの問題ではないのだと知るだけでも、ずいぶんとこころが軽くなるだろう。コロナウィルス禍で家族という牢獄に閉じこもざるをえなくなって苦しくてしようがない人にこそ、本書をおすすめしたい。
目次
1 総論
いまふたたび「女性であること」を考えるーージェンダーの視点から
……信田さよ子(原宿カウンセリングセンター)
2 家族を生きる痛み
母と娘という問題系ーーこれまでとこれから
……信田さよ子(原宿カウンセリングセンター)
DVに立ち向かう女性たち……山口のり子(アウェア)
児童虐待死事件の取材から見えてきたもの……杉山 春(ルポライター)
中高年AC女性と介護ーー関係の悪い母の最期をめぐって
……寺田和代(フリーライター/社会福祉士)
エッセイ:痛みと逃げ道……坂上 香(out of frame)
3 当事者の痛み
酔っていないと主張できなかったーー構造的スティグマとしての隔離
……上岡陽江(ダルク女性ハウス)
摂食障害を生きて
……鶴田桃エ(NABA:日本アノレキシア・ブリミア協会)
発達障害を生きるーー「コミュニケーション障害」の罠から
抜け出すために……綾屋紗月(東京大学先端科学技術研究センター)
エッセイ:女性の生きづらさとスキーマ療法
……伊藤絵美(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス)
4 社会を生きる痛み
戦争と家族の暴力……中村江里(日本学術振興会特別研究員)
貧困問題と女性ーー風俗業界で働いている女性たちの聞きとり調査から
……上間陽子(琉球大学教育学部)
塀のなかの女性たちーー今こそソーシャルワークを
……大嶋栄子(特定非営利活動法人リカバリー)
司法制度と家族ーー面会交流をめぐって
……千田有紀(武蔵大学社会学部)
エッセイ:「被害者」になれない私たち
……北原みのり(作家/会社経営者)
5 性別という痛み
「男ゆえの困難」の何が問題かーー介護する男たちの語られ方と、
そこで見失われているものを考える
……平山 亮(東京都健康長寿医療センター研究所)
“加害者性"に苦しむ男たち
……清田隆之(文筆業/恋バナ収集ユニット「桃山商事」)
性暴力加害者の責任を問う、とは
……牧野雅子(龍谷大学犯罪学研究センター)
トランス女性と性暴力被害ーー私はあえて一人の女をみつめる
……岩川ありさ(法政大学国際文化学部)
ジェンダーにおける加害者性と被害者性の位相
ーートラウマティックな関係性の再演から
……野坂祐子(大阪大学大学院人間科学研究科)
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事