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イヴァン・イリイチらによるかつての産業社会批判は、セルジュ・ラトゥーシュらによる「脱成長・脱開発」の社会思想とその実践へと受け継がれた。叙述は冗長ながら、環境保護、奴隷労働からの解放、貧困国からの搾取の廃止等、主張は明確であり、看過できない論点を多数提起している。
目次
第1部 “ポスト開発”という経済思想―経済想念の脱植民地化から、オルタナティブ社会の構築へ
“ポスト開発”と呼ばれる思想潮流
ある概念の誕生、死、そして復活
神話と現実としての発展
「形容詞付き」の発展パラダイム
発展主義の欺瞞
発展パラダイムから抜け出す
想年の脱植民地化
第2部 “脱成長”による新たな社会発展―エコロジズムと地域主義
われわれは何処から来て、何処に行こうとしているのか?
“脱成長”のテリトリー
“脱成長”―具体的なユートピアとして
政策としての“脱成長”
“脱成長”は人間主義か?
いかなる経済学が、新自由主義に代わって、ポスト・グローバル化時代の指針となるのか?金融危機・債務危機を引き起し、地球環境を破壊してしまった「新自由主義」に代わって、現在、最も欧州で注目されているのが、“脱成長”の経済学である。“脱成長による新たな社会発展”を目指すこの経済理論は、グローバル資本主義の構造的矛盾を克服するものとして、左右の政治の壁を越えて話題となり、国会でも論議されている。“脱開発”を掲げる新聞・学術誌が発刊され、学会や地方政党も誕生し、社会現象となるにまでにいたっている。本書は、その提唱者である経済学者ラトゥーシュの代表作二冊を日本読者向けに一冊にまとめた、“脱開発”学派の基本書というべきものである。
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