本書の読みどころは、東京都港区と山形県で実施された大規模調査のデータをもとに、高齢者の「貧困と社会的孤立」の実態を余すところなく明らかにしている部分にある。
しかも、計量分析だけでなく、因子分析で抽出した高齢者の生活類型──「多重困難型」、「外出困難型」、「経済困窮型」、「関係困難型」、「生活安定型」ごとに、インタビュー調査で得られた高齢者の事例を提示したりと、すぐれた社会調査の見本のような充実した内容となっている。
あらためて、生活保護どころか、介護保険さえ活用していない要介護生活困窮高齢者の実態の深刻さを実感した。港区の「ふれあい相談員」制度のもとで行われているようなアウトリーチが、大都市、農山村を問わず、必要とされている。
“大切なもの”が欠落する日本の社会保障・福祉制度“高齢者3000万人時代”に必要な視点そして問題解決へのシナリオ。
目次
はじめに―深刻化する貧困と社会的孤立
第1章 貧困と孤立は、もっとも弱い層を襲う
第2章 ひとり暮らし高齢者はどの地域に多いか
第3章 日記は語る
第4章 5つの生活類型と格差
第5章 農山村と都市を比較する
おわりに―「老人に冷たい国・日本」を変える
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