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本と音楽とねこと

デジタル・ファシズム

堤未果,2021,デジタル・ファシズム──日本の資産と主権が消える,NHK出版.(2.16.2022)

 堤未果さんといえば、どうしてもナオミ・クラインを想起してしまうが、クラインほど饒舌でない分、論旨がしっかりまとまっていてとてもわかりやすい。選ぶ言葉が的確であるのも、高い文章表現力の要素の一つである。
 コロナ・パンデミックのショック・ドクトリン(惨事に便乗した新たな支配と搾取)として、オンライン教育へGAFA等、テック企業が参入し、膨大な利権を得ている。わたしも、大学が採用するマイクロソフトのソフトウェアを使っているが、忸怩たる思いを禁じ得ない。
 オンラインでパワポのスライドを使って講義をし、学生はグーグル検索を繰り返して、なにかを学んだ気になる。
 さらに、ベーシック・インカムで生計を立て、SNSで愚にもつかぬ、自己顕示欲と承認欲求の充足をはかり、ゲームでAR (拡張現実)、VR (仮想現実)に没入して満足する。そのような、政府の「ムーンショット計画」が象徴するディストピアが現実のものとなろうとしていることに、戦慄する。

行政、金融、教育。国の心臓部である日本の公共システムが、今まさに海外資本から狙われていることをご存知だろうか?コロナ禍で進むデジタル改革によって規制緩和され、米中をはじめとする巨大資本が日本に参入し放題。スーパーシティ、デジタル給与、オンライン教育…いったい今、日本で何が起きているのか?気鋭の国際ジャーナリストが緻密な取材と膨大な資料をもとに明かす、「日本デジタル化計画」驚きの裏側!

目次
第1部 政府が狙われる
最高権力と利権の館「デジタル庁」
「スーパーシティ」の主権は誰に?
デジタル政府に必要なたった一つのこと
第2部 マネーが狙われる
本当は怖いスマホ決済
熾烈なデジタルマネー戦争
お金の主権を手放すな
第3部 教育が狙われる
グーグルが教室に来る!?
オンライン教育というドル箱
教科書のない学校

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