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上間さんが丹念に聞き取り調査をした、本書に登場する沖縄の女性たちの多くが、崩壊家庭で育ち、家出をし、キャバ嬢となり、10代にして出産して、男性から凄惨なDVを受けた後で、シングルマザーとなっている。あるいは、中学生のときから売春に身をやつし、その際に受けた心の傷を一人、抱え続けている。
統計的に云々できない記録であるので、一般化することは難しいが、少なくとも、「沖縄の若者は、経済的に貧しくとも、家族・親族、地域コミュニティ、友人との強いつながりに支えられて幸福に生きている」という固定観念があるのであれば、本書の内容は、そうした幻想を見事に吹き飛ばしてくれる。
一人一人の若い女性に寄り添う、上間さんのまなざしはつねにあたたかい。だからこそ聞き取りえた、女性たちの貴重な生活史の記録である。
目次
まえがき――沖縄に帰る
キャバ嬢になること
記念写真
カバンにドレスをつめこんで
病院の待合室で
あたらしい柔軟剤 あたらしい家族
さがさないよ さようなら
調査記録
あとがき
沖縄の女性たちが暴力を受け、そこから逃げて、自分の居場所をつくりあげていくまでの記録。
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