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のっけから、読む者を圧倒する。
岡山の山村で育った末井さん、7歳にして、母親が隣家の青年とダイナマイトで心中。
はあ・・・。
山村の巨木に抱きついてマスをかき射精する末井少年・・・。
爆笑するほかない。
末井さん、工場に就職しても長続きせず、看板描き、イラストレーターを経て、エロ本編集者へ。仕事だけでなく、この人、ほんとうにだらしがない。女性関係がだらしないだけでなく、先物取引に手を出して、借金3億円・・・。
!!!
パチンコ、マージャン、競馬などへのギャンブル依存もひどく、バルネラビリティというか、自己破滅体質全開。この人、とことん、ほんとうに救いようのない人なのだ。
だけれども、こんな人が、一生懸命、「死なないでほしい」と言うと、響くんだよなあ、これが。
本当は、生きづらさを感じている人こそ、社会にとって必要な人です。そういう人たちが感じている生きづらさの要因が少しずつ取り除かれていけば、社会は良くなります。取り除かれないにしても、生きづらさを感じている人同士が、その悩みを共有するだけでも生きていく力が得られます。だから、生きづらさを感じている人こそ死なないで欲しいのです。(pp.352-353)
脱力系のゆるゆるした文体にこめられた渾身のメッセージは、若い人にこそ読んでほしい。読み応えじゅうぶんの快作だ。
目次
まえがき
地震と自殺
母の自殺
いじめと自殺
世間サマと自殺
観光気分で被災地巡礼
残された者
抗議の自殺
眠れない夜
お金と自殺
二人のホームレス
秋田県の憂鬱
樹海探索
うつと自殺
慈しみの眼差し
聖書との出会い
緩慢な自殺
病気と自殺
迷っている人へ
あとがき
母親のダイナマイト心中から約60年―伝説の編集者が、ひょうひょうと丸裸でつづる。大人気連載、ついに書籍化。笑って、脱力して、きっと死ぬのがバカらしくなります。
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