過剰に自己責任が問われる時代に、社会を変えるのではなく自らの認知の枠組みを変えることで、なんとかこころの危機を乗り越えていく。
というと、自己啓発のようであるが、自己啓発とは一つ高次の視点に立って問題の核心に迫っていく。
議論に深みを与えているのは、よく考えぬかられた寓話と思考の補助線、そして印象深い事例の紹介だ。
これらが有機的にかみ合い、こころの危機を乗り越えるための知見が積み重ねられていく。なんといっても、この構成がすばらしい。
「あとがき」で述べられているように、長時間にわたって徹底的に思考と叙述を純化させていったことが、これほど高い完成度に結実したのだろう。
文句なしの傑作である。
家族、キャリア、自尊心、パートナー、幸福…。あらゆる悩みに耳をすませば聞こえてくるのは「ひとりぼっち」という苦しみだった。人生には迷子になってしまう時期がある。そんな時に助けてくれる7つの補助線。紀伊國屋じんぶん大賞受賞の臨床心理士が贈る、新感覚の“読むセラピー”。
目次
1章 生き方は複数である―処方箋と補助線
2章 心は複数である―馬とジョッキー
3章 人生は複数である―働くことと愛すること
4章 つながりは複数である―シェアとナイショ
5章 つながりは物語になる―シェアとナイショ2
6章 心の守り方は複数である―スッキリとモヤモヤ
7章 幸福は複数である―ポジティブとネガティブ、そして純粋と不純
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