後藤澄江,2012,ケア労働の配分と協働──高齢者介護と育児の福祉社会学,東京大学出版会.(11.26.24)
ケア労働を生命再生産労働と位置づけ、英国と韓国の事例も紹介し、家庭と地域社会が協働でケア労働を行なう仕組みを提示する。
市場のグローバル化や少子高齢化などの社会変動が進むなかで,育児や高齢者介護などのケア労働も変容している.本書は,ケア労働を「生命再生産労働」と位置づけ,英国と韓国の事例も紹介し,家庭と地域社会が協働してケア労働を行なえる仕組みを提示する.
問題意識はよく理解できるのだが、ケア労働の最適配分と、ケアの供給主体としての、国家、自治体、企業、地縁集団、ボランタリーアソシエーション、家族の協働のあり方を模索するという点で、隔靴掻痒の感想しかもちえないな。
ケア労働が、生命と尊厳の維持に必要不可欠な点をふまえれば、それへの従事が個人の職業キャリアや家庭、余暇生活を阻害しないように、育児、介護休暇制度の充実、ケア労働の有償化、ケア従事者の賃金をはじめとする労働条件の向上をはからないといけないと思うのだが、はて。
序 章 ケア労働の配分と協働をめぐって
第I部 ケア労働の分析枠組み
第1章 生命再生産労働という分析視点
第2章 家族の生命再生産機能と情緒機能
第II部 日英韓の家族政策・地域政策
第3章 英国のケア労働の配分をめぐる変質と「家事労働」――サッチャー政権下のコミュニティケア政策
第4章 英国におけるコミュニティケアの推進――地縁型「地域労働」・市民型「地域労働」の再編をめざして
第5章 日韓のケア労働の配分と協働――21世紀に入ってからの立場の逆転
第III部 ケア供給の担い手育成と協働
第6章 地域活動の実態と「家事労働」「地域労働」――名古屋市調査の結果から
第7章 地域を基盤としたネットワークとケア労働――「家事労働」と「地域労働」の協働の促進に向けて