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本と音楽とねこと

津波の霊たち

リチャード ロイド パリー(濱野大道訳),2018,『津波の霊たち──3・11 死と生の物語』早川書房.(2.17.2019)

 津波による大川小学校での児童の大量死の真相、霊媒師による死者の口寄せ、死者の霊に憑依された被災者とその除霊、この三つを軸に「物語」は進行するが、遺族への丹念な取材に裏付けられた「事実」の大胆な再構成と、事実関係を検証するスリリングな展開が読む者を飽きさせない。
 これまで数多くの「震災の記録」を読んできたが、これほど巧みに語りを構成した類書はほかにない。文句なしの秀作だ。

目次
プロローグ 固体化した気体
第1部 波の下の学校
第2部 捜索の範囲
第3部 大川小学校で何があったのか
第4部 見えない魔物
第5部 波羅僧羯諦―彼岸に往ける者よ

在日20年の英国人ジャーナリストは、東北の地で何を見たのか?2011年3月11日、東日本大震災発生。その直後から被災地に通い続けたロイド・パリー記者は、宮城県石巻市立大川小学校の事故の遺族たちと出会う。74人の児童と10人の教職員は、なぜ津波に呑まれたのか?一方、被災地で相次ぐ「幽霊」の目撃談に興味を持った著者は、被災者のカウンセリングを続ける仏教僧に巡り会う。僧侶は、津波の死者に憑かれた人々の除霊を行なっていた。大川小の悲劇と霊たちの取材はいつしか重なり合い―。傑作ルポ『黒い迷宮』の著者が6年の歳月をかけ、巨大災害が人々の心にもたらした見えざる余波に迫る。

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