1950年代の社会科学において、丸山真男の政治思想とならんで多大な影響力をふるった大塚史学、その一端を本書で知ることができる。
いまとなっては、「アジア的共同体」、「古典古代的共同体」、そして「ゲルマン的共同体」の比較文化的検討は、マルクスとウェーバーの思想を折衷させて提示しただけのものでしかなく、地域コミュニティレベルでは実に多様な共同体が存立してきたことを知っているわたしたちには、もはやあまり価値のあるものとはいえない。
革命の時代にコミュニズムの夢想にかぶれたマルクス、自らのエスノセントリズムに「価値中立」であることを貫けられなかったウェーバー、そしてそれらをとりまとめた大塚久雄。本書には、たんなる学史的意味しかないのかもしれない。
著者は戦後社会科学の巨峰.資本主義の発展史を研究する場合,共同体の解体の問題を避けて通ることはできない.そのためには共同体の本質,成立と解体の諸条件を総体として理論的に見通すことが必要である.本書は主としてマルクスとウェーバーの理論に依拠しつつ世界史上の共同体の諸形態を類型化した記念碑的著作である.姜尚中解説.
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