虐待やネグレクト、そしてパーソナリティ障がいの世代間連鎖といっても、あまりに言葉が軽すぎて、リアリティが感じられないわけだが、虐待やネグレクトに加えて、いじめ、そして殺人と、次々に凄惨な経験が積み重ねられていくと、一気に現実感が増す。
フィクションだからこそ描ける悲惨がある。そして、しばしば現実はフィクションより悲惨だ。だからこそ肉迫するリアルな、ざらざらした不快感、これには病みつきになるだろう。
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する…。
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