大熊一夫,2009,精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本,岩波書店.(11.11.24)
この国の精神保健の明日を描くために。精神保健最先進国イタリアからの渾身のルポと、日本への提言。第1回フランコ・バザーリア賞受賞(2008年)記念作品。
イタリアにおける精神科病院の解体と地域精神保健福祉の仕組みづくり、その歴史と実相に迫る。
フランコ・バザーリアをはじめとする、精神医療の改革に奔走した人々の思いが臨場感たっぷりに描き出されている。
目次
第1部 日本の悪夢―一九七〇年、鉄格子の内側に潜入
恐怖と絶望と退屈の病棟
私設強制収容所
不肖の息子とその親
第2部 目からウロコ―一九八六年、精神保健先輩国を訪ねる
精神病院を廃絶?
世界の精神保健事情
バザーリアの後継者を招く
第3部 精神病院の終焉―二〇〇六年夏、ローマの友からの便り
取材意欲再び
タンスの骸骨
トリエステ燃ゆ
歴史的妥協
トリエステの現在
バザーリアってこんな人
第4部 地域サービス時代の到来―一九九〇年代以降のイタリア
一八〇号法生き残る
首都ローマの改革
司法精神病院の街
政変で精神保健が変わった
残酷物語はお伽話に昇華した
改革のキーワードは脱・施設化
第5部 日本の地域精神保健―二〇〇九年、希望への胎動
二人の先達その後
青い鳥を求めて